外注ノウハウ
2019.01.08
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【弁護士監修】正しい業務委託契約書の書き方は?記載内容や注意点も

業務委託契約を結ぶ際に業務委託契約書を作成しないで、メールや電話での合意で済ませるケースもありますが、契約書を作成しておくことが望ましいです。業務委託契約書に記載するべき内容や注意点などをまとめました。

業務委託契約書とは?

業務委託契約書の作成は必要

業務委託契約を締結する際に、契約書を作成しなければ契約が成立しないというわけではありません。業務委託契約のみならず、多くの契約行為は書面による合意を必要とせず、両者の意思の合致(合意)があれば成立します。

メールや電話、口頭でのやり取りで業務を依頼し、相手が依頼内容を承諾すれば、契約書を作成しなくても契約は成立するのです。しかし、業務委託契約書は作成しておくべきです。

トラブル防止のため作成しておくべき

業務委託契約書を作成することで、契約が成立していることや契約内容が明確になります。特に口頭でのやり取りでは、「言った」「言わない」といったことからトラブルになりやすいです。

契約書を作成することで、契約が成立していることや詳細な契約内容が契約締結後の時点からみても明らかになるため、契約に関するトラブルが生じることを事前に防ぐことができ、万が一トラブルが生じたときにも契約の存在やその内容の証明が簡単になります。

業務委託契約書の主な形態


業務委託契約という契約類型は、民法などに明示的に規定されているものではありません。一般的な企業活動で結ばれている業務委託契約の内容は、請負契約と委任(準委任)契約に大別できることが多いです。

なお、いずれも請負人や受任者の労務を利用する契約類型ですが、請負人・受任者が、注文者や委任者から独立して業務を行う点で雇用契約とは異なります。

契約書の冒頭に「業務委託契約書」と書かれている場合でも、その契約書の実質的な内容から、その契約が民法などに規定されるどの契約類型にあたるかによって、どの契約類型についての法律上の規律に従うかが決まることになります。

請負契約

請負契約は成果物の完成を目的としたもので、成果物に対して報酬を支払います。業務委託契約を結ぶと、受注者(請負人)には瑕疵担保責任が生じます。納品された成果物に欠陥があった場合は、修理や損害賠償を求めることが可能です。さらに瑕疵によって目的を果たすことができない場合には、契約を解除することもできます。

委任契約や準委任契約

委任契約は、業務の遂行に対して報酬を支払うものです。委任契約には委任契約と準委任契約があり、委任契約は法律行為の委託、準委任契約は法律行為以外の事務処理などを委託する場合に用いられます。

委任契約や準委任契約は、受注者(受任者)に善管注意義務があり、委託された業務に応じて通常期待される程度の注意を払うことが義務づけられます。

業務委託契約書に記載する内容

委託する業務内容

業務委託契約書には、委託する業務内容や業務の範囲を具体的に記載しておきます。もっとも、実務上は、細かな業務の全てを文言化することが困難であったり、記載漏れが起こることも考えられますので、業務内容を定める条項の最後に「○○に関する業務の一切を含む」といった条項をつけておくのが一般的です。

この条文を付ける場合には、双方で関連業務にどこまで含まれるのかについて共通認識を持っておくことも大切です。委託する業務内容を曖昧にしてしまうと、「ここまで含まれているとは思わなかった」と受注者からいわれるなど、トラブルになりがちですので注意が必要です。

また、請負契約にあたり、成果物の完成が予定される場合には、成果物の仕様をより明確化するために別途「仕様書」を作成し、請負人に交付することも考えられます。

報酬の支払い時期と支払い方法

業務委託契約書には、報酬の支払い時期と支払い方法を定めておきます。継続的取引の基本契約書の場合は、締め日や支払い日も取り決めます。また、システム開発など規模の大きな案件や長期に及ぶ案件の場合、着手金や中間金の支払いなど分割払いを行うのか、あるいは一括払いとするのかなど、支払い条件の取り決めが必要です。

経費の取り扱い

委託した業務の遂行にあたっては、経費が発生することがあります。発注者側が一部の経費を負担するのか、すべて受注者側の負担になるのか、契約書に明記しておくと、経費負担を巡るトラブルを避けられます。

たとえば、電話インタビューを依頼する場合、通信費が発生しますが、通信費を含む一切の経費を受注者の負担とする場合には、「業務を遂行に要した通信費を含む諸経費については受託者の負担とする」という条項を入れておきます。

知的財産権の譲渡

システム開発やオウンドメディアの原稿の執筆を依頼した場合などは、通常、知的財産権の譲渡を受ける契約にしておきます。知的財産権とは、特許権や実用新案権、著作権、商標権といったものです。

ただし、システム開発の場合は他のシステムにも共通して利用できるノウハウやモジュールは受注者が留保することもあり、契約金額も含めて交渉となることもあります。

再委託の可否

請負契約は受注者が再委託をして下請けに出すことが可能な契約形態です。受注者が下請けに出すと困る場合には、再委託の禁止に関する条項を入れておきます。

一方、準委任契約の場合は、原則として再委託はできません。受注者側が再委託をする可能性があり、発注者側が許容する場合に限り、再委託を許諾する条項を入れます。

裁判管轄

原則として、民事訴訟を起こす場合に管轄となる裁判所は、被告人の住所地を管轄する裁判所となるため、それ以外の裁判所を管轄裁判所としたい場合には取り決めが必要です。

発注者の本社や支店の所在地と、受注者の所在地を管轄する裁判所が異なる場合は、裁判を起こすことになったときには、移動に関わる経費や手間がかかります。なるべく、自社の本社や支店から近い裁判所を管轄裁判所としておきましょう。

個人と契約を締結する場合の注意点

労働者性があると雇用契約になる

個人との業務委託は労働者として雇い入れる場合と比較して、社会保険料の負担がない、必要な時期だけ専門的な人材を確保できるといったメリットがあります。しかし、個人事業主として業務委託契約を結び、労働者性を疑われて問題になるケースがみられます。

個人と業務委託契約書という形で契約を締結していても、実態は労働者性があると雇用契約とみなされるのです。

使用従属性の判断基準

労働者性があるか判断基準とされるのが使用従属性の有無です。

1つ目は、受注者が仕事の依頼や業務の指示を断ることができること。2つ目は、業務の遂行に対して発注者からの具体的な指示が行われていないこと。3つ目は出退勤などの勤務時間の管理を行っておらず、進捗状況の報告を義務づけていないこと。4つ目は受注者以外が代務することが可能なこと。5つ目は報酬が出来高払いで、時間給や日給、月給ではないことです。

この5ついずれかに該当しないものがあると、労働者性を疑われます。

労働者性を補強する要素

使用従属性だけでは労働者性があるか判断できないときの基準として、労働者性を補強する要素というものがあります。

1つ目は器具等は個人事業主の負担で用意すること。2つ目は個人事業主に対して支払う報酬が一般社員よりも高額であること。3つ目は報酬に基本給など生活給的な要素を持つ支払いがないこと。4つ目は他社の業務を自由に受注できることです。

こちらもいずれか、該当しないものがあるケースは労働者性を疑われることになります。

まとめ

業務委託契約を結ぶ際には、後々のトラブルを避けるために、必要となる項目を満たした業務委託契約書を作成しておくことが大切です。個人との業務委託契約は労働者性を疑われることのないものとなるように留意しましょう。

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【監修者】弁護士 楠瀬健太
契約に関するノウハウが不足しがちな企業の担当者の皆さまをを法律面からサポートします。 所属事務所:横浜綜合法律事務所

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