商品やサービスを売る際には必ず「マーケティング戦略」にぶち当たります。そのとき、マーケティング戦略ってそもそも何だろうかと考えることはないでしょうか?そこでこの記事ではマーケティング戦略の必要性やフレームワーク、具体的な成功事例も含めてご紹介していきます。
マーケティング戦略とは?
マーケティング戦略とは、「誰に」「どんな価値を」「どのように提供するのか」という売るための作戦です。
マーケティング戦略の必要性
なぜマーケティング戦略は必要なのでしょうか?戦略とは、もともとは戦争に勝つための計画のことを指しています。歴史の教科書には様々な戦争について書いてありますが、とりあえず無計画に起こされた戦争はありません。
結果はどうあれ、どうすれば勝利できるのか作戦を練って戦います。マーケティングも同様です。どうすれば売れるのかの作戦が必要なのです。
マーケティングの戦略と戦術の違い
戦略はガイドライン、戦術はオペレーションです。基本的な方針や目標をマーケティング戦略として策定し、その目標を達成するために具体的にどのように動いていくのかを戦術として考えます。
戦略は長期的、大局的な視点でシナリオを作るのに対し、戦術は短期的、局所的な視点で実行していくという違いがあります。
マーケティング戦略をたてるときの考え方は?
マーケティング戦略を考える際に押さえておくべき基本的な考え方があります。
3C分析で、自社と競合、市場を知る
3C分析とは、自社の商品を取り巻く環境を以下の3つのCの視点から分析する手法です。
- 「Customer(顧客)」
- 「Competitor(競合)」
- 「Company(自社)」
顧客のニーズや動き、競合企業の動きを分析して自社がどのように動くのかを検討します。
STP分析で誰にどのように売るかを決める
マーケティング戦略の根幹になるのが「STP」と呼ばれる項目です。この3つについて明確化できるかどうかがマーケティング戦略のキモになります。
- 「S」セグメンテーション
- 「T」ターゲティング
- 「P」ポジショニング
セグメンテーションとは、市場を細分化して分類することです。例えば、清涼飲料水という市場を細分化していくと、ミネラルウォーター、コーヒー系、炭酸飲料系のように細かく分類することができるでしょう。その中でどの市場で勝負していくのかを見極めます。競合企業の中でも突出して成果を出せるような市場を探し出すための手法です。
セグメンテーションした市場の中から具体的な顧客を絞る作業がターゲティングです。どんな人に向けて商品やサービスを伝えるのかによってコミュニケーションの方法が変わってきます。顧客(ターゲット)を絞るからこそ、限りある開発費や広告費を効果的に使うことが可能になるでしょう。
ポジショニングは、狙いを定めた顧客に対して、商品・サービスの立ち位置を決めるプロセスです。わかりやすく言えば、どのカテゴリで差別化を狙い、顧客に印象付けるかということになります。商品の特徴やポテンシャルを理解し、戦わずして勝つポジションを取れるのが理想でしょう。
どのような価値を与えられるか考える
世の中にはたくさんの商品やサービスが存在します。その中で自社を選んでもらうにはどうしたら良いのでしょうか?それを解決するのがバリュープロポジションです。商品・サービスを使うことでどんな課題が解消されるのか、競合他社との違いは何かを定義していきます。
バリュープロポジションはマーケティングだけでなく、企業活動の指針としての役割も果たすことができるでしょう。
4P分析で、差別化ポイントをつくる
4P分析とは、4つの頭文字Pからなる、いわゆるマーケティングミックスと呼ばれるものです。以下の4つの項目を最適な形に組み合わせていくことが大切です。
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(場所)
- Promotion(プロモーション)
ターゲットに向けて最適な製品開発を行います。製品の機能や、性能はもちろんのこと、使用するスタイル、パッケージなども含まれます。
製品の価格設定と価格管理を行います。原価や利益率などを加味した価格設定が必要になります。
製品をどのように市場に流通させるかの仕組みづくりを行います。取引相手や物流戦略も含まれます。
広告、PRなど販促活動を行います。製品の特徴やターゲットに応じた手法の選択が必要です。
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マーケティング戦略のフレームワークの種類は?
情報を整理する「4C」
4Cは競合商品の確認と、自社商品の課題発見を行う際に使えるフレームワークです。
- 「Customer value(顧客にとっての価値) 」
- 「Cost(コスト)」
- 「Convenience(利便性)」
- 「Communication(コミュニケーション)」
以上4つの指針で測ることができます。顧客視点で考えることが大切です。
課題を見つける「PEST分析」
PEST分析はマクロ環境を分析するための手法です。社会情勢を把握し、自社がおかれている外部環境について理解したいときに使います。
- 「Politics(政治)」
- 「Economy(経済)」
- 「Society(社会)」
- 「Technology(技術)」
以上4つの切り口でニュースを分類することで、適切なマーケティング戦略を練るための助けとなります。
アイデアを考える「SWOT分析」
SWOT分析は新しい戦略のアイデアを練るときに使用するフレームワークです。
まず、十字のマトリクスを作り、内部環境と外部環境とに分けてみましょう。内部環境は「Strength(強み)」と「Weaknesses(弱み)」、外部環境は「Opportunities(機会)」と「Threats(脅威)」が該当します。それぞれにリサーチ情報を分類し相関関係からアイデアをまとめてみると良いでしょう。
実行しながら修正する「PDCA」
プロジェクトを運営する際の基本となっているのが「PDCA」です。戦略をブラッシュアップさせたいときに使用するフレームワークです。
- 「Plan(計画する)」
- 「Do(実行する)」
- 「Check(確認する)」
- 「Action(改善する)」
この4つを循環的に行うことでプロジェクトの効率化が図れます。このサイクルを繰り返し行うのがポイントです。
マーケティング戦略の成功事例、失敗事例は?
コンセプトを貫いた「無印良品」
西友のプライベートブランドからスタートした「無印良品」は、現在市場でオリジナルブランドとして競争力を持つまでに成長しています。その成功の背景には明確なSTPと適切なマーケティングミックスがありました。
単純に家具や雑貨という市場ではなく「ライフスタイル」という市場をセグメントし、「シンプルなライフスタイルを志向する消費者」をターゲットに、優位性のあるポジションを目指しました。素材にこだわり、デザイン・包装は簡素にした商品を製造し、WEBやSNSを中心にしたプロモーションを展開。
ファミリーマートやキオスクなど、独自の流通チャネルを開拓しました。これらのコンセプトは1980年の創業当時から変わっておらず、継続して一貫したマーケティング戦略を貫いたことが無印良品をブランドとして押し上げた大きな要因となっています。
市場を読み違えた「コカ・コーラ」
少し古い事例ですが、マーケティング戦略の失敗事例として「コカ・コーラ」が挙げられます。ペプシ・コーラという有力なライバル商品が登場し、危機感を覚えたコカ・コーラ社は、起死回生を図るべく「New Coke」ブランドの開発に取り組み、1985年に新発売しました。
しかし、味や清涼感など品質を向上したにも関わらず、市場に受け入れられなかったのです。その理由は自社商品の価値を見誤ったことでした。
顧客は「新しくて美味しいコカ・コーラ」ではなく、「従来の飲み慣れたコカ・コーラ」を求めていたのです。従来の商品へのブランドロイヤリティを見抜けなかったという点がコカ・コーラ社の失敗でした。
しかし、そのことに気づいてからの対応は早く、わずか三ヶ月で元の味のコーラが「コカ・コーラクラッシック」としてリニューアル販売され、見事にシェア回復を果たしています。
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まとめ
マーケティング戦略は企業活動を行う上でとても重要なものです。STP分析やSWOT分析、PDCAなどのフレームワークを活用して策定することができます。「誰に」「どんな価値を」「どのように提供するのか」という点を軸にマーケティング戦略を練ってみてください。