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公開日: 2023.02.02 / 最終更新日: 2024.01.09

Herokuとは?料金体系やメリット・デメリットを解説

今回は、Heroku(ヘロク)の特徴や料金体系、Herokuの代表的なサービスと搭載機能、アカウントの登録・ログイン方法などをまとめて紹介します。無料版の廃止についての情報も紹介するので、あわせて参考にしてください。
※金額等に関するデータはすべて2024年1月現在のものです。

Herokuとは?

HerokuとはHerokuは、Heroku社(※)が提供するPaaSです。PaaS(Platform as a Service)とは、クラウド上のプラットフォーム(サーバー・OS・ミドルウェアなど)を利用できるサービスのことです。Herokuを導入すると、アプリやシステム開発などに必要なITリソースを利用でき、低コスト&効率的に開発環境を構築できます。

(※)米大手企業であるSalesforce.com(セールスフォース)の子会社

Herokuでできること

一般的に、アプリやシステム開発をする場合、開発環境を構築するために以下のような準備を行う必要があり、多くの労力やコストがかかります。

・ハードウェアの準備
・ネットワーク構築
・OSのインストール
・データベースのセットアップ
・プログラミング言語の動作環境設定…など

Herokuを導入すると、上記のようなITリソースをインターネットを通じて利用できるため、アプリやシステム開発に必要な環境をコストを抑えて構築できます。また、完成した製品やサービスを公開する操作(デプロイ)もHerokuでスムーズに実行でき、公開後のアプリなどを運用・管理する際に便利な機能も搭載しています。(Herokuの代表的なサービスと搭載機能については、記事後半で紹介しています。)

Herokuの料金体系・プラン

Herokuの料金体系・プランHerokuには4種類の基本プランがあり、それぞれ料金体系が異なります。

・ベーシック(お試しで利用したい個人や企業向けのプラン):月額5ドル~
・プロダクション(開発環境を構築したい企業向けのプラン):月額25ドル~
・アドバンスド(高容量や低遅延といったスペックが高いプラン):月額250ドル~
・エンタープライズ(大規模組織での共同作業向けのカスタムプラン):要相談

上記の料金プランは、Herokuのさまざまな機能を搭載した基本プランです。プラットフォームやデータベースなどを個別に契約できるプランもあり、1時間あたり0.01ドル程度から利用できます。

無料版の廃止について

Heroku社は、以下の無料プランを廃止すると発表しました。

・Heroku Dynos
・Heroku Postgres
・Heroku Data for Redis

これらの無料プランが不正な目的(フィッシングなど)で使われるケースが確認され、その対策を講じるために多大な資金と労力がかかることが、無料プラン廃止(※)の理由とされています。同社は無料プランを廃止する代わりに、機能追加などでユーザーの利便性を上げることにリソースを集中したいとの旨を提示しています。また、低価格プラン(小規模開発向けのプラン)は継続的に利用でき、学生・非営利団体向けプログラムの提供も予定されています。

無料版の廃止にともなう変更点などは、Heroku社のホームページを確認してください。

HerokuとAWSの違い

HerokuとAWSの違いHerokuと類似したサービスとしてAWS(Amazon Web Services)が挙げられます。ここでは、HerokuとAWSの違いについてそれぞれ紹介します。

プログラミング言語

AWSは、以下のようなプログラミング言語に対応しています。

・Java
・Ruby
・PHP
・Go
・Python
・Node.js
・JavaScript
・.NET
・C++

Herokuは、以下のようなプログラミング言語に対応しています。

・Java
・Ruby
・PHP
・Go
・Python
・Node.js
・Scala
・Clojure

上記のように対応言語がやや異なるため、アプリやシステム開発で使用する言語に合わせて導入するPaaSを選ぶ必要があります。例えば、Scalaで大規模なWebサービスを構築する場合や、Clojureによるソフトウェア開発を検討している場合などは、Herokuを選ぶと良いでしょう。

料金体系や機能

AWSの料金体系は、サービスを利用した分だけ秒単位(あるいは時間単位)で料金が加算される「従量課金制」です。電気代や水道料金のように毎月の請求額が増減するため、予算の見積もりを立てづらい傾向にあります。一方で、利用しない時間帯(夜間・休日など)は料金が発生しないため、無駄なコストを抑えることができます。
Herokuの料金体系は、基本的に月額料金(月額5ドルなどの一律料金)です。毎月かかるコストをあらかじめ把握できるため、予算の見積もりを立てやすい傾向にあります。

両者を比較すると、機能の充実度に関してはAWSが優れているといえます。AWSは人工知能・機械学習などを活用した機能も搭載しており、関連サービスが数百種類以上もあるため、さまざまな用途に対応しています。
対してHerokuは、アプリやシステムの開発・公開・運用に適していますが、AWSよりもシンプルな機能を搭載しています。そのため、開発環境を構築する際に選択肢が多いと迷ってしまう場合(PaaSを利用したことがない初心者の方など)はHerokuの導入がおすすめです。

AWSについての詳細は、以下のページを参照してください。
関連記事:AWSとは何か?初心者向けに基礎から徹底解説!
関連記事:AWSの費用はどのくらい?料金体系や料金が決まる仕組みを徹底解説

Herokuの代表的なサービスと機能

Herokuの代表的なサービスと機能ここでは、Herokuの代表的なサービスと搭載機能をそれぞれ紹介します。

①Herokuプラットフォーム

Herokuプラットフォームは、Herokuのサービスの基盤となるプラットフォームです。「dyno」と呼ばれるスマートコンテナでアプリを実行させることができ、フルマネージド(※)の実行環境を用意しています。アプリなどを公開するための操作や、他のプログラミング言語への変更(ビルドアップ)にも対応しています。主に、開発したアプリのリリース・運用・改善などを一元管理したい場合に利用されているプラットフォームです。

(※)フルマネージドとは、サーバーの運用・管理やセキュリティ対策、トラブルシューティングなどをまとめて対応してくれるサービスのこと

②Heroku Postgres

Heroku Postgresは、Herokuのデータベースを利用できるサービスです。機能性の高いPostgreSQLを採用しており、各種データの管理自体はHerokuのエンジニアに任せられるため、収集したデータを活用する業務(分析・レポート作成など)にリソースを充てられます。また、データを収集している途中で、負荷変動(トラフィック数など)に応じてデータベースのスケーリング(※)を行う機能も搭載しています。

(※)スケーリングとは、アプリやシステムの性能・処理能力を「要求する処理量」に合わせて増強(スケールアウト)、または縮減(スケールイン)すること

③Heroku Connect

Heroku Connectは、顧客管理システムなどを提供する「Salesforce」とHerokuを同期できるサービスです。主に、顧客情報を活用したアプリやシステムを開発・運用したい場合に利用されます。データの同期はHeroku・Salesforceの双方向で行われ、マウス操作のみ(コードの作成は不要)で簡単に同期できるため、専門知識がなくても活用できます。例えば、顧客データ(顧客の連絡先・取引先・カスタムオブジェクトなど)をHeroku・Salesforceで連携すれば、セキュリティ対策が施された機密性の高い環境でデータを結合・管理できます。

④Heroku Redis

Heroku Redisは、データ駆動型のアプリを開発する際に役立つサービスです。リアルタイムでログを集積する機能などがあり、Redisの機能を拡張すればより快適な開発環境を構築できます。例えば、パフォーマンスの詳細(コマンドあたりの呼び出し回数・使用中のキー数・メモリなど)を可視化させたり、高機能のCLIでインスタンス管理を行ったりすることで、アプリなどの運用・管理にかかる手間を削減できます。また、Redisのインスタンス運用は、専門知識を持ったHerokuの担当スタッフに任せられるため、他の業務(アプリ開発・動作テスト・ログ解析など)にリソースを充てることができます。

⑤Apache Kafka on Heroku

Apache Kafka on Herokuは、分散型コミットログの一種で、イベントストリームを管理するためのサービスです。主に、大量のデータ(イベント・トランザクションなど)を処理できるアプリを開発する際に利用されます。アプリやシステムの開発者とユーザー間において、フォールトトレランス(※)に優れた高速な通信環境を実現できることが特徴です。

(※)フォールトトレランスとは、システムなどの一部が故障(または停止)した場合でも、予備の系統に切り替えるといった対応により、正常に稼働させる仕組みのこと

⑥Heroku Enterprise

Heroku Enterpriseは、大規模組織向けのサービスです。1つのプラットフォームで、Java・Ruby・PHP・Go・Python・Node.js・Scala・Clojureなどのプログラミング言語に対応しており、共同作業がしやすいように「コラボレーション」という機能を搭載しています。スマートコンテナの「dyno」を活用して負荷を分散したり、アドオンを追加してアプリ開発する場合などにも利用されています。アプリやシステム開発をする際に、開発のプロセスやリソース、ユーザーをダッシュボードから管理・追跡・運営することが可能です。

⑦Heroku Elements

Heroku Elementsは、専用ページ(Elementsマーケットプレイス)で豊富なアドオンを購入できるサービスです。ワークフローを効率化するツールや、Herokuプラットフォームを拡張する高度なサービス、簡単にデプロイできるパッケージ化されたコードなど、アプリの開発・運用の各段階で役立つアドオンが揃っています。

⑧Heroku Teams

Heroku Teamsは、Herokuを利用した共同作業をスムーズに進行させるためのサービスです。チームメンバーの編成や追加、細かな権限の設定(割り当て)などができます。アプリやアドオン、リソースのコストを1枚の請求書で表示できるため、開発チームが大規模になった場合でもコストを管理・把握しやすいことが特徴です。なお、Heroku Teamsは5名までは無料、25名までなら月額10ドルで利用できます。

Herokuの利用メリット

Herokuの利用メリットここでは、Herokuを利用するメリットをいくつか紹介します。

アドオンが豊富で拡張性が高い

Herokuは200種類以上のアドオンを用意しており、アプリの拡張性が高いことがメリットです。アドオンはElementsマーケットプレイスで購入でき、ダッシュボードやCLI(コマンドラインインターフェース)からインストールできます。

また、アドオンの管理(適用状況の確認など)はダッシュボードで簡単に操作でき、無料のアドオンも豊富にあるため、新しい機能を追加して試した後に必要なければ除外する、といった運用方法も可能です。

システムのスケーリングが容易

Herokuは、アクセス数やトラフィックの増減に合わせて自動的にスケーリングを行う機能を搭載しているため、システムのスケーリングを容易にできることがメリットです。

手動でスケーリングの調整を行いたい場合は、ダッシュボード・CLIからdynoの数や種類を変更できます。自動スケーリングの場合は、トラフィックを予想したり、増減に合わせて設定を変更したりする必要がなくなり、アプリやシステムの管理にかかる手間を削減できます。

運用サポートを受けられる機能が多い

Herokuは、アプリやシステムを公開した後の動作や、公開後の運用をサポートするさまざまな機能を搭載しています。以下のような機能を組み合わせて活用することもでき、アプリなどの開発・公開・運用を1つのHerokuアカウントで一元管理できます。

①メトリクス(指標)
※アプリの応答時間やdynoの負荷の値、メモリ使用量、イベント(エラーなど)をモニタリングし、問題を特定できる機能

②しきい値アラート
※監視する指標(応答時間・失敗したリクエスト)を選択した後に、「しきい値」と「感度」を調整し、設定値から逸脱した場合にアラートを鳴らす機能

①②の機能を組み合わせれば、ユーザーが何らかのエラーに気づく前に、問題・原因の双方を特定可能です。そのため、より早いタイミングで改善策を考案でき、エラーによるユーザー離れを抑制できるでしょう。なお、ログ記録(上記のようなエラーのログを含む)は、ダッシュボードやCLIから確認できます。

Herokuのアカウント登録方法は?

Herokuのアカウント登録とログイン方法

Herokuを導入するためには、アカウント登録(無料)が必要です。具体的には、以下5つのステップでアカウント登録を行います。

①Herokuの公式サイトにアクセスする
②画面右上の「新規登録」をクリックする
③必要情報(氏名・会社名・メールアドレスなど)を入力する
④「アカウント作成」をクリック
⑤アカウント登録用のメールを待つ

その後、アカウント登録用のメールが届くため、メール内に記載されたURLにアクセスし、指示に従って登録を完了します。

アプリケーション開発にお悩みならクラウドワークスで人材を発掘しよう

アプリやシステム開発に関する仕事を外注したい・受注したい場合は、クラウドソーシングサービス(※)を利用する方法がおすすめです。なかでも業界最大手の「クラウドワークス」はエンジニアやWebデザイナーが多数登録しており、掲載案件数も豊富です。

発注者として無料登録する場合は、HerokuやAWS、プログラミングなどを得意とするワーカーに仕事を依頼でき、予算や納期などは個別に相談可能です。

受注者として無料登録する場合は、企業や個人が公募している案件に応募したり、自身のプロフィール(Herokuに関する実績や対応言語など)をアピールしてスカウトを待つ方法もあります。

【クラウドワークスで実際に発注されたHeroku関連の案件例】
・Herokuで運用中の勤怠管理システムの改修作業(使用言語はRuby):時給2,000円~
・小中高生向けのプログラミング教室の講師募集(フルリモート):時給1,500円~
・Herokuを使った開発プロジェクト提案書の作成代行(10ページ):5万円程度

クラウドワークスで発注されているHeroku関連の仕事・案件の一覧を見てみる

クラウドワークスに登録しているワーカーのうちHerokuのスキルを持つ人材を見てみる

(※)クラウドソーシングサービスとは、仕事を外注したい人・受注したい人をインターネット上でマッチングするサービスのこと

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まとめ

Herokuは、アプリやシステムの開発・公開・運用で役立つ機能を搭載しています。豊富なアドオンによって拡張性が高く、定期的に新しいアドオンも追加される予定です。また、HerokuはSalesforce.com(セールスフォース)の子会社で、Salesforceの提供サービスと相互連携できるため、Salesforceを利用している場合・利用する予定がある場合は、Herokuとあわせて導入を検討されてはいかがでしょうか。

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クラウドソーシングTimes編集部
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