
働き方改革の重要性が叫ばれている今日では、企業には柔軟な働き方を容認し、誰もが働きやすい環境を整えることが求められてきています。そんな中、生産性の向上に悩む企業は増加しています。そこでこの記事では、働き方改革についてや生産性向上の具体的な方法、成功事例を解説します。
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働き方改革とは?
働き方改革とは、日本企業全体の働き方や労働環境を見直し、一億総活躍社会の実現に向けてさまざまな施策を行っていくことを指します。2016年9月には安倍内閣総理大臣決裁で「働き方改革実現会議」が設置され、政府や民間企業が取り組むべき施策や法改正の方向性などが示されました。
働き方改革推進の背景としては、日本の少子高齢化や、それに伴う生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)の減少、長時間労働問題の深刻化などが挙げられます。また、育児・介護と仕事の両立を図るため、リモートワークや短時間労働の重要性も増しています。企業はあらゆるニーズに応えられるよう、柔軟な働き方を認めていく必要が出てきています。
働き方改革の目的は?
働き方改革の主たる目的は、一億総活躍社会の実現です。一億総活躍社会とは「数十年後も人口1億人が維持されたまま、すべての人が職場や家庭で自身の能力を最大限発揮できる社会」。労働者目線の取り組みを通じて、少子高齢化に対抗していきます。
一億総活躍社会を実現するには、国全体としての経済成長が欠かせません。そのためには、企業の大小にかかわらず労働生産性を上げる必要があります。
生産性向上による成果を労働者に分配したり、労働者格差の是正を通じて中間層が増えたりすれば、消費の押し上げが期待できるでしょう。政府は労働環境を見直して生産性を増加させることで、国全体の経済成長を目指しているのです。
働き方改革に対する政府の取り組みは?
働き方改革に対する政府の取り組みは、主に3つの方向性に分かれます。
適正な労働時間への是正
長時間労働問題の解決なしに働き方改革が実現することはありません。世界を見渡しても日本の長時間労働問題は深刻だと言えます。
残業ありきの社会では、育児・介護と仕事の両立は難しく、キャリアを中断する人も少なくありません。また、出産を妨げる要因にもなり得ます。残業時間の削減に取り組む企業は確かに増えていますが、それでも依然として過労死や自殺などの事件は無くなりません。
政府は法改正を行い、時間外労働の上限規制を強化しました。それに伴い、民間企業も労働者一人ひとりの労働時間を把握し、ワークライフバランスを改善させる必要があります。
正規と非正規の給料格差の解消
日本社会では、正規雇用と非正規雇用によって賃金等の待遇に大きな差が存在します。同じような業務に従事していても、待遇に格差があれば非正規雇用で働く人の労働意欲は失われるかもしれません。
そこで、同一労働同一賃金の導入が進められています。正規・非正規間での格差が解消されれば、中間層が増えて消費の拡大にもつながります。
働き方の多様性の実現
育児・介護と仕事の両立は簡単ではなく、キャリアを中断する人は少なくありません。そのため、場所を選ばずに就業できるテレワークや、労働時間の短縮が可能な短時間勤務制度の導入が政府主導で進められています。
働き方のニーズは多様化しており、副業や兼業は珍しいことではなくなりました。厚生労働省も、副業や兼業について「原則禁止」から「原則容認」へと方向性を改めています。企業も柔軟な働き方を容認し、誰もが働きやすい環境を整えなければなりません。
テレワークに関してはこちらの記事もご覧ください。
関連記事:働き方改革で注目されるテレワークとは?導入のメリットと課題を解説
生産性を向上させる方法は?
労働生産性を向上させる具体的な方法を紹介します。
働き方(場所と時間)を自由にする
多様な働き方を認め、一人ひとりが働きやすい環境を整備することで、労働生産性は向上します。場所や時間の制約がなくなることで労働者のモチベーションが向上したり、業務効率化への意識が高まったりするケースは少なくありません。
また、ワークライフバランスを重視している会社にはより優秀な人材が集まりやすいので、生産性や効率性の底上げにつながります。このことからも、フレックスタイム制を導入し労働時間に弾力性を与えたり、リモートワークを認めたりする企業が増えています。
テクノロジーを活用する
労働生産性を高めるためにはテクノロジーの活用が欠かせません。さまざまなITツールを導入することで、より効率的な業務の遂行が可能になり、ムダな労力や時間を排除できます。
例えば、スケジュール調整ツールや社内コミュニケーションツールは、情報共有や各種調整にかかる手間を大幅に削減できます。費用対効果を確認したうえで自社に合ったツールを活用してみてください。
ノンコア業務をアウトソーシングする
生産性を上げる方法として、ノンコア業務をアウトソーシングすることも挙げられます。定型的な業務や事務作業に時間を割いていると、社員が生産性の高いコア業務に専念することができません。ノンコア業務を外部化することは、生産性や効率性を向上させるうえで重要です。
外部化においては、アウトソーシング会社を利用したり、クラウドワークス等のクラウドソーシングサービスを活用したりするのが一般的です。ぜひこちらの資料もごらんください。
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関連記事:3年で売上10倍にするにはコア業務に集中できる環境が重要。ガイアックスの管さんが語るクラウドソーシングの向き合い方と活用法
働き方改革の生産性向上の成功事例は?
最後に、生産性向上に成功した事例を紹介するので参考にしてみてください。
柔軟な働き方を推進した「カルビー株式会社」
出典元:カルビー株式会社
カルビー株式会社は、労働者の多様な働き方ニーズに応えて在宅勤務制度を導入しました。在宅勤務ルールの徹底整備・マニュアル化を進めて労働者への周知を行ったところ、大きな成果が見られたようです。
残業時間の削減に成功し、業務の効率がアップしたという意見も多く集まっています。さらに、在宅勤務制度の導入に伴い、業務プロセスの見直しや社内雰囲気の改善などが行われ、生産性向上に大きく寄与しました。
単純な業務を外部化した「SB C&S株式会社」
出典元:SB C&S株式会社
SB C&S株式会社(旧:ソフトバンク コマース&サービス株式会社)は、単純業務をアウトソーシングすることで働き方改革を進めています。定型的業務を全国のBPO拠点に外注化し、社員はコア業務に専念させました。その結果、定型業務コストを20%減少させることに成功しました。
また、アウトソーシングに伴い作業量の可視化や業務分担の見直しが進み、効率性や生産性の向上にもつながっています。
まとめ
少子高齢化が進む中では、働き方改革を進めなければ企業は生き残れません。生産性や効率性を上げる方法として、リモートワークやITツールの導入、さらにはノンコア業務のアウトソーシング化があります。ぜひさらなる生産性の向上を図ってみてください。
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