業務効率化
公開日: 2019.09.22 / 最終更新日: 2020.01.06

起業する時の手続きは?個人・法人事業別の手順、かかる費用を解説!

個人事業にしても法人を設立するにしても、起業時にはさまざまな手続きが必要です。さらに、事業をスムーズに進めるためにも起業前に確認しておくべきことがあります。そこで、起業のメリットやデメリット、手続きについてわかりやすくまとめました。

起業前に確認しておくことは?


起業前に確認しておくことは数多くありますが、簡潔にわかりやすくするため、基本的なポイントを3つにまとめました。

起業するアイデアを固める

もっとも基本的なことですが、大事なのは「どんなことで起業するのか」という点です。アイデアがない状態では、起業しても事業はうまくいきません。「こんなことがしたい」「これはいい考えかも」というアイデアの種があれば、それをより具体的なものに固めていきましょう。少なくとも、業種とターゲット像、サービス内容は必須です。

起業アイデアを発想するコツは以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
関連記事:起業アイデアを思いつくには?発想のコツや実現方法を紹介!

起業にかかる費用を計算する

起業時には細かい費用がかかります。以下は株式会社の例ですが、

・定款に貼る収入印紙代:4万円 ※電子定款ならば不要
・定款の認証時に公証人に払う手数料:5万円
・登記手続きに必要な定款の謄本手数料:約2,000円(250円/1ページ)
・登記手続きの際の登録免許税:資本金額の1,000分の7が必要(※)

※資本金額の1,000分の7が15万円未満ならば、15万円を納める必要があります。そのため、以上の4項目を合計すると、およそ21万円~25万円程度が必要となってきます。

自分で手続きする/代行に依頼する

起業手続きはさまざまな書類が必要になり、苦手な人には少々大変なものになるかもしれません。そんな場合は専門家に依頼するという方法も検討しましょう。もちろん代行の利用には費用がかかりますが、専門家からのアドバイスを得られること、本来ならば手続きに発生する時間をそのままビジネスにまわせることはメリットです。

なお、もし専門家に依頼する場合は、依頼先によってできること・できないことがあります。

【司法書士】会社の登記手続きを依頼できる
【税理士】登記手続きは依頼できず、書類の作成のみ
【行政書士】登記手続きは依頼できず、書類の作成のみ
【社労士】登記手続きは依頼できず、書類の作成のみ

以上のことからわかるとおり、登記手続きまで依頼したい場合は司法書士という一択になります。当然ですが、依頼先によって得意分野は異なるので、どのような事業を始めたいかによって依頼先を決めるようにしてください。

個人事業/法人事業のメリット・デメリット


起業するにあたって、個人と法人はどちらが良いのでしょうか?それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。

個人事業のメリット、デメリット

個人事業のメリットは設立が簡単であることです。必要な書類は法人の比ではありませんし、専門家に依頼しなくても自分で設立することができます。登記のための初期費用もかかりません。また、税金の計算が法人よりも楽であることもメリットです。

デメリットは、社会的信用が法人に比べて低いことです。一部の企業は、法人とでなければ業務契約を結べないというように規定していることもあります。

法人事業のメリット、デメリット

法人の場合、一般的には社会的な信用度合いが個人よりも高いことがメリットです。そのため、銀行などの融資も法人のほうがしてもらいやすいです。さらに、赤字を最長で9年繰り越すことができる税務的なメリットも重要なポイント(個人事業だと繰り越せるのは3年のみ)。

一方、デメリットとしては設立に際して初期費用が必要であること、手続きが煩雑であることが挙げられます。設立にも専門家が必要な場合があるように、運営にもさまざまな専門家が必要です。税務に関しては税理士、雇用に関しては社労士といったように、手続きの難しさや煩雑さから専門家に依頼している企業がほとんどです。

個人事業の手続きの手順とは?


実際に個人事業の手続きをする際の手順を見ていきましょう。

開業の届け出を税務署に提出する

個人事業として起業する場合、税務署に開業届を出したら終了です。もし税制優遇を受けたいと思うのであれば、青色申告届け出も同時にしておきましょう。従業員を雇う際も申告が必要になるので、すべて同時に手続きをしておくと何度も足を運ばなくても良くなります。

法人事業の手続きの手順とは?


法人の設立手続きは個人の場合よりも少々複雑で、いくつかのステップがあります。

1.公証人に定款を認証してもらう

法人の場合、運営の基本原則となる定款を作る必要がありますが、定款は法律で定めている内容を満たしているかどうかの審査が入ることになっています。それが公証人による定款の認証です。公証人に見てもらうためには5万円の手数料がかかります。

2.法務局で設立の登記を行う

法人の登録を行うのは法務局です。定款と登録免許税、出資金の払込資料、印鑑登録証などを法務局に持参、または郵送しましょう。法務局で登記が完了すると、法人番号と法人印鑑登録カードが発行されます。

3.法人設立届出書を税務署へ届け出る

税務署では、法人届出書を提出します。ほかにも、定款、登記事項証明書、株主名簿、設立趣意書、設立時貸借対照表も求められるため、忘れず持参しましょう。

4.社会保険関連の手続きをする

もし従業員を雇う場合は、労働保険の加入が必須です。労働保険加入手続きは労働基準監督署で行います。さらに、社会保険の手続きが必要になるため、年金事務所にも足を運ぶ必要があります。年金事務所では健康保険と厚生年金保険の手続きをしましょう。

起業後に必要な手続き一覧


登記が完了して起業した後も、いくつかの手続きが必要です。それぞれの書類の届出先と締め切りをまとめました。

税務署に提出する書類

・法人設立届出書:会社設立後2カ月以内(※)
・給与支払い事務所の開設届出書:会社設立後1カ月以内
・青色申告の承認申請書:会社設立後3カ月(3カ月以内に事業年度が変わるなら事業年度内)
・棚卸資産の評価方法の届出書:設立第1期の確定申告の提出期限日まで
・有価証券の評価方法の届出書:有価証券取得日に属する事業年度の確定申告の提出期限日まで

※法人設立届出書のみ添付書類が必要です。定款のコピー、株式名簿のコピー、設立時の貸借対照表の3種類を用意しておきましょう。

なお、会社設立をする以前に個人事業主として開業していた場合は、廃業届を出しておく必要があります。こちらは1カ月以内に提出するようにしましょう。

社会保険事務所に提出するもの

健康保険/厚生年金保険新規適用届:会社設立後5日以内
健康保険/厚生年金保険被保険者資格取得届:資格取得後5日以内

従業員がいる場合は、労働監督基準署にも書類の提出が必要です。適用事業報告、労働保険関係成立届、就業規則作成届、時間外労働・休日労働に関する協定届が必要になります。いずれも速やかに提出しましょう。

まとめ

起業をする際には、事前に「事業に関するアイデア」「起業に必要な費用」「手続きに必要な書類」の3つを準備しなくてはいけません。そのうえで個人か法人なのかを決め、手続きを進めていくと良いでしょう。法人を選択した場合、手続きが煩雑になるので、専門家に代行してもらうことも視野に入れておくことをおすすめします。

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伊藤孝介
セールスプロモーション会社を経て独立し、フリーランスで地方自治体や中小企業のマーケティングリサーチ、販促企画などに携わる。 業務拡大のため2017年に合同会社を設立し、現在経営中。 マーケティング系ライター歴5年。マーケティング用語の解説や、事例紹介、WEBマーケティングなどが得意。

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