業務効率化
公開日: 2019.10.17 / 最終更新日: 2020.06.26

RPA導入事例9選を紹介!自治体・製造業・金融業界の成功事例は?

働き方改革の一環として、行政や民間企業で導入される事例が増えている「RPA」。では、そもそもRPAとは何でしょうか?また、RPAを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか?RPAの概要やAIとの違い、業界ごとの具体的な導入事例を紹介していきます。

そもそもRPAとは何か?


RPAという言葉は耳にしたことはあっても、具体的にそれが何かはわからない人もいるでしょう。ここでは、まずRPAの基本的な内容を説明します。

ホワイトカラー業務をロボットが代行する取り組み

RPAとは『Robotic Process Automation』の略で、ロボットを利用した業務効率化や自動化を図る取り組みのことです。製造業などの単純作業だけがRPAの対象に含まれるのでなく、AIの搭載によってホワイトカラー業務を担えるロボットも増えてきています。

できる内容に応じて3段階に分かれる

RPAは、できる段階に応じて呼び方が変わります。最初の段階がRPAと呼ばれ、人事、経理、総務などバックオフィスの定型業務をこなせる段階です。次の段階はEPA(Enhanced Process Automation)と呼ばれ、さまざまなデータの処理や分析を自動化する段階です。

次がCA(Cognitive Automation)となり、これはAIに近い性能を持ち、プロセスの分析や改善、意思決定のような部分がこなせる段階となっています。意思決定までを自動化することによって、経営改善に活用することも可能です。

RPAとAI(人工知能)の違い

RPAとAIはよく混同されがちですが、この2つはまったく違います。まず、RPAには完全なる意思決定はできません。あくまでも事前に決められた基準に則って判断します。つまり、人間が定めた意思決定ルールに沿って、忠実に業務遂行を行うシステムです。

一方、AIには自動学習機能があるため、情報をインプットすればするほど自動で最適化を図るようになり、ルールを自分で変更していきます。自分でルールを作れるか否かがRPAとAIとの大きな違いです。

RPAを導入するメリットとは?


RPAを導入するメリットを4つ紹介します。

人的ミスを防ぐ

RPAはロボットであるため、事前にプログラムされたことを忠実に実行します。そのため、人間のような「抜け」「漏れ」「勘違い」といったミスを犯しません。ミスなく業務を進められるのは大きなメリットです。

コスト削減

企業の経費の中でも、もっとも大きいもののひとつに人件費が挙げられます。RPAを導入することで、複数の人間が行なっていた業務をRPAが行うことができ、25~50%の人件費を削減することができます。

生産性向上

RPAは人間とは異なり、24時間稼働が可能です。単純作業をRPAに任せ、クリエイティブな仕事を人間が行うという住み分けをすることによって、仕事の効率化とクオリティの向上が図られ、生産性が向上します。

人材不足の解消

少子高齢化などの社会の影響によって、従業員を確保できないことが課題となっている企業は増えています。人間が担っていた業務をRPAが担当することによって、人材不足を解消することが可能です。

RPAツールでPC操作を認識させる仕組みなどは、こちらの記事で紹介しています。
関連記事:今注目のRPAの仕組みとは?期待できる効果と活用方法を解説!

製造業におけるRPA導入事例


RPAを会社に導入している実例として、もっともイメージがしやすい製造業における導入事例を3つ紹介します。

サッポロビール株式会社

小売各社に飲料を販売しているサッポロビールには、かつて各企業のカテゴリ別POSデータを毎日ダウンロードするという単純作業がありましたが、ここにRPAを導入しました。結果的に年間5,700時間分の削減につながり、年間の事務コストも1,100万円の削減され、きめ細かい分析と営業支援が可能になっています。

マルコメ株式会社

マルコメでは、50社以上ある卸先のPOSデータ収集に課題がありました。1社につき約20分もかかり、膨大な時間がネックとなっていたのです。その作業をRPAに移行させることによって、1社につき約5分にまで時間短縮でき、対応時間の70%削減に成功しています。

株式会社ギンポーパック

食品プラスチック容器の企画・製造・販売を手がけるギンポーパックでは、在庫管理に課題を抱えていました。そこで、メールの自動配信業務にRPAを導入し、在庫数、出荷予定数、製造依頼データを担当者に毎日自動配信することに決定。それによって、確認が煩雑だった在庫管理業務の軽減化につながりました。

自治体におけるRPA導入事例


実は自治体でもRPAが導入されています。どのような取り組みなのか、実際の導入事例を3つ紹介します。

東京都葛飾区

マイナンバーの発行と同時に膨大な事務作業が発生したことをきっかけに、葛飾区はRPAの導入を行ないました。これらの単純作業をRPAで対応することにした結果、作業時間を16分の1まで圧縮することに成功しています。

熊本県宇城市

熊本地震の影響を受けたことによる業務増加と、日頃からの人手不足を解決する方法として、宇城市では6つの業務にRPAを導入しました。これにより、年間724万円の歳出削減と、3,632時間の業務効率化を見込んでいます。

茨城県つくば市

全国初のRPA導入を決めた自治体は、茨城県つくば市です。市役所の単純作業や定型業務をRPA化することによって、年間で約1,432時間と、導入前と比較すると約8割の時間削減に成功しています。

金融業界におけるRPA導入事例


定型業務の多い金融業界でもPRAの導入が増えています。

楽天カード株式会社

楽天カードは、金融業務における膨大なデータ処理にRPAを導入。結果として75%の削減効果を実感し、作業時間や作業人数を4分の1にすることに成功しています。

三菱東京UFJ銀行

三菱東京UFJ銀行では、2,000件を超える手動プロセスをRPA化しました。新規登録、口座開設、住宅ローンの申込などを自動化し、顧客対応改善を図っています。

三井住友銀行

三井住友銀行でのRPAの導入も業務効率化に大きな影響を与えています。年間で1,500人分の業務量(300万時間)の削減を予定し、1,000億円のコスト削減を見込んでいます。

まとめ

RPAとは、ロボットを利用することで単純作業や定型作業を行い、作業の効率化や経費削減を図ることのできるシステムです。そのため、製造業界を始め、金融業界や自治体などでも広く活用されています。働き方改革が求められている現代において、RPAはますます必要なツールとなってくるでしょう。

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伊藤孝介
セールスプロモーション会社を経て独立し、フリーランスで地方自治体や中小企業のマーケティングリサーチ、販促企画などに携わる。 業務拡大のため2017年に合同会社を設立し、現在経営中。 マーケティング系ライター歴5年。マーケティング用語の解説や、事例紹介、WEBマーケティングなどが得意。

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