外注ノウハウ
公開日: 2018.11.26 / 最終更新日: 2024.04.05

【弁護士監修】業務委託契約とは?委任と請負の違いや契約時の注意点

社内のリソースでは業務がまわらないときや、業務効率化を検討しているとき、業務委託契約によって外部の人材に委託することが選択肢となります。業務委託契約とは何か、契約時の注意点にも触れながら解説していきます。

業務委託契約とは?

業務委託の意味

業務委託とは、発注者が外部の企業や個人に一定の業務の遂行を委託するもので、受注者側は自己の裁量と責任のもと、委託された業務を契約にもとづいて実施します。発注者と受注者は雇用関係にない立場です。ただし、業務委託契約は法律用語ではありません。業務委託契約と呼ばれるものは、請負契約と委任契約のいずれかに該当します。

業務委託契約の請負と委任の違い


業務委託契約の請負契約と委任契約はそれぞれどういったものなのか、違いからみていきます。

目的や報酬請求権の違い

請負契約は仕事の完成を目的としたもので、成果物に対して請求が発生します。委任契約は事務の処理を目的とするもので、一定の業務の実施に対して報酬が請求されるため、成果物の完成の有無は問われません。

たとえば、業務委託で会社のロゴを発注する場合は、「ロゴ」という成果物に対して報酬を支払うため、請負契約となります。一方、社内システムの保守管理を業務委託する場合は、成果物は発生せず、「保守管理」という一定の行為を行うことを約束するものですので、委任契約となります。

責任の違い

請負契約は受注者に成果物に対する瑕疵担保責任があるため、納品を受けた後に発注者が不備や不具合を発見した場合、修正を依頼することができます。委任契約では受注者に善管注意義務があり、職務にもとづく一般的に要求される水準の注意を払って、業務を遂行することが求められています。

契約の解除の条件

請負契約を解除するには、一定の条件が設けられています。発注者は成果物の完成前は損害を賠償することで契約を解除することができます。また、成果物に欠陥があることにより目的を達成できない場合も、契約の解除が可能です。

受注者が解除できるのは、発注者が破産手続き開始を受けたときと発注者に債務不履行があるときとなります。一方、委任契約の場合は、いつでも発注者も受注者も契約を解除できます。

業務委託契約と混同されやすい契約

雇用契約

雇用契約は、労働者が使用者に対して労働を提供し、使用者が労働者に対して報酬を支払う契約です。業務の遂行に関して、労働者は使用者の指揮命令下にあります。雇用契約の場合、労働者は労働基準法や労働契約法などの適用を受けます。

個人と業務委託契約を結んでいる場合も、契約の形式に関わらず、労働者が指揮命令下にあるなど、実態が労働者である場合は雇用契約とみなされる点に注意が必要です。

派遣契約

人材派遣では、派遣会社と労働者が雇用契約を結び、派遣会社と派遣先企業が派遣契約を結びます。労働者は派遣先企業に労働を提供し、派遣先企業から業務の遂行に関する指揮命令を受けますが、報酬は派遣会社から受け取ります。派遣会社に対して、派遣先企業は料金を支払っています。そのため、雇用関係と指揮命令関係が分かれていることが、一般的な雇用契約との違いです。

出向契約

出向は出向元の企業とのあいだに雇用契約を結んでいる状態で、出向先の企業とも雇用契約を結ぶもので、二重の雇用契約を結ぶ形です。労働者は出向元の企業と労働条件が結ばれている状態ですが、出向先企業の指揮命令を受けます。出向元企業に籍を残しているので在籍出向と呼ばれ、出向元企業を退職して出向先企業に籍を移す、転籍出向とは区別されます。

業務委託契約の注意点

違法な偽装請負となる契約は避ける

偽装請負とは、実態が派遣契約となっている請負契約や委任契約をいいます。アウトソーシング業者に業務委託する場合、アウトソーシング業者の労働者に対して、発注者が直接、命令を行うことはできません。また、発注者が勤務時間を指定したり、就業規則や服務規律を適用したりするような契約は、偽装請負とみなされます。

契約書で委託する業務範囲を明確化

報酬の支払いを巡るトラブルにならないように、契約書で委託する業務範囲や成果物の仕様について、詳細に規定しておくことが大切です。契約書に委託内容の詳細を入れることが難しい場合は、添付資料や覚書を付帯します。委託契約の場合は業務の遂行状況を把握できるように、定期的なミーティングの開催やレポートの提出に関する条項を契約書に組み入れておくとよいでしょう。

報酬のタイプの特徴を理解しておく

業務委託の報酬の支払い方法は、主に3つに分類できます。毎月定額型は1ヵ月の業務委託報酬を定額にするもので、保守業務委託契約や顧問業務委託契約などに向いています。発注者側はコスト管理がしやすいですが、一定の額が支払われることが決まっているため、受注者の意識が低いと業務の質が低下する恐れがあることが懸念点です。

成果報酬型は業務の成果によって報酬が変わるもので、営業代行業務委託契約などに向いています。受注獲得数が増えると報酬もアップしていくので、モチベーションを高める効果がありますが、強引な営業行為が行われないようにするための歯止めが必要です。

単発業務型は単発の業務委託契約を結ぶときのもので、建築設計監理業務委託契約やソフトウェア開発業務請負契約などに向いています。単発業務型は、報酬が決まっていることや継続的な契約ではないことから、受注者によっては業務の質を高める意欲を持たないことが懸念されます。

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まとめ

業務委託契約を結ぶ際には、請負契約と委任契約の違いを理解したうえで、依頼したい内容に合った契約形態をとる必要があります。また、契約後のトラブルを避けるためにも、業務委託契約を結ぶ際には契約書をきちんと読みましょう。

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