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公開日: 2018.12.17 / 最終更新日: 2024.01.22

【弁護士監修】業務委託契約で請負契約と委任契約の違いを徹底解説!

一般的に業務委託契約と呼ばれる契約類型は請負契約と委任契約に大別できることが多いですが、契約内容や対象業務はどのように違うのでしょうか。

また、発注者の事業所で業務を遂行する場合、派遣契約との違いが問題になり、偽装請負が疑われるケースもあります。この違いについても解説していきます。

業務委託とは?法律の規定は?

業務委託契約とは?

業務委託とは、発注者が一定の業務の実施を外部の企業、または個人に対して委託する契約について一般的に使用されている名称です。委託を受けた受注者は自己の責任や裁量において、業務を実施します。

ただし、業務委託契約という名称は、法律に規定されている契約類型ではありません。一般的に締結されている業務委託契約は、民法に基づく契約類型としては、請負契約と委任契約のいずれかに該当することが多いです。

請負契約と委任契約の違いは?

請負契約の定義

請負契約は民法第632条に規定される契約類型です。請負契約とは、当事者の一方(請負人)がある仕事を完成させることを約束し、相手方(注文者)がその仕事の結果(成果物)に対して報酬を支払うことを約束する契約です。

請負人は、完成した成果物に対して瑕疵担保責任を負うため、仕事の完成後に成果物に欠陥が見つかった場合は、注文者は請負人に対して成果物の修補や損害賠償を求めることができます。

また、成果物に生じている瑕疵によって、契約の目的が達成できない場合には、契約自体を解除することもできます。一方、請負契約では、請負人が注文者から独立して業務を行うものですので、請負人は、仕事の完成のために他業者と請負契約(一般的に「下請け」と呼ぶものです。)を結ぶことができます。

仕事の質を担保する必要がある場合など事前に下請を禁止したい場合には、注文者は請負人との契約の中でその旨を取り決めておく必要があります。

請負契約の対象業務例

請負契約の対象となる契約は、業務委託のうち、成果物の完成が目的になっており、成果物に対して報酬を支払うケースです。たとえば、ホームページの制作やソフトウェア開発、システム開発のほか、店舗のリフォーム工事などが該当します。

また、コンサルティング契約や顧問契約との名称であっても、マニュアルや報告書の作成を目的とする場合には、請負契約に該当する場合があります。

委任契約の定義

委任契約は、当事者の一方(受任者)が、他の者(委任者)から委託されて一定の行為をし、委託者は受任者の行為に対して報酬を支払う契約です。民法第643条では委任契約は委任者が受任者に対して法律行為を委託する契約と規定されています。

受任者に対して法律行為以外を委託する場合には民法656条で規定される準委任契約という契約類型となります。委任契約や準委任契約では受注者は自己が行う行為について、善管注意義務を負っています。

受任者が職務に応じた通常の注意(職業的地位・社会的地位・技能・経験等を基準として受任者と同一といえる者が通常期待されるような注意)を怠ったことにより委任者が損害を受けた場合は、委任者は受任者に対して損害賠償請求をすることが可能です。

委任契約の対象業務例

委任契約や準委任契約の例として挙げられるのは成果物の完成が目的とされない、ユーザーからの問い合わせに答えるヘルプデスクやシステム等の保守契約などです。また、知識や技能を提供する通常のコンサルティング契約や顧問契約、技術指導契約などが該当します。

成果物の完成を求めるかどうかが大きな違い

請負契約は成果物の完成を求めるのに対して、委任契約は仕事の完成を求めず、業務の実行を目的としていることが大きく異なる点です。

請負契約と準委任契約の違いは?

準委任契約は法律行為以外

準委任契約は、一定の事務処理の委託する行為のうち、受任者に対して法律行為を行うもの以外をいいます。民法で委任契約というと法律行為に関する業務の委託を指しますが、広義の意味として、委任契約に準委任契約も含まれていることが多いです。

請負契約と準委任契約の違いは、請負契約と委任契約の違いと同様であり、成果物の完成を求めるかどうかが大きな違いになります。

請負契約と派遣契約の違いは?

労働者派遣の定義

労働者派遣とは、派遣元と雇用契約を結んだ労働者が、派遣元と派遣契約を結んだ派遣先に派遣され、派遣先の指揮命令を受けて派遣先の業務を遂行するものです。

労働者、派遣先、派遣元の三者間の関係は、「①派遣元と派遣労働者との間に雇用関係があり、②派遣元と派遣先との間に労働者派遣契約が締結され、この契約に基づき、派遣元が派遣先に労働者を派遣し、③派遣先は派遣元から委託された指揮命令の権限に基づき、派遣労働者を指揮命令するというもの」(参照:厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成30年7月6日以降)」)になります。

労働者は派遣会社から給与をもらい、派遣先の企業から派遣元に対し、派遣契約に基づく対価が支払われます。派遣先企業と労働者の間には雇用関係がなく、雇用と使用が分離されていることが、労働者派遣の特徴です。

直接指揮命令できるかどうかが違う

請負契約では、注文者の事業所で請負人である企業の労働者が業務を担うケースがあり、派遣契約と混同されることがあります。派遣契約では、労働者は派遣先の指揮命令に従い業務を行いますので派遣先は労働者に対して直接指揮命令を行うことが可能です。

一方、請負契約では、請負人は注文者から独立して業務を行い、注文者は請負人に対して指揮命令権がありませんので、請負人の労働者が注文者の事業所で業務を行っていたとしても注文者は請負人の労働者に対して指揮命令を行うことはできません。労働者は、請負人の責任者の指揮命令に服することにすぎません。

偽装請負とならないように注意

偽装請負とは、形式的には請負契約とされているものの、実態としては、労働者が注文者(派遣先)の指揮命令下にある場合をいいます。この場合は、形式的には請負契約とされていても、労働者派遣法により規定されている様々な労働者保護を目的とする規制が適用されることになります。

労働者に対して業務の遂行に関する指示を直接行うこと以外にも、労働者の始業や終業時間の管理や、休日の取得に関する指示、労働者の配置の決定を注文者が行うことも、偽装請負と判断される要素となります。

請負契約のメリットとは?

低コストに抑えられる

自社に対象となる業務に必要なシステムや設備が備わっていない場合は、業務の遂行のために新たな設備投資が必要です。また、業務の遂行に必要なスキルを持つ専門的な人材を雇用するためには、人件費がかかります。委託する業務内容や業務量によっては、請負契約を結ぶことで、設備投資費用や人件費を抑えられます。

業務を長期間依頼できる

労働者派遣契約は労働者派遣法により、同じ部署で同一の派遣労働者を3年間超える期間受け入れることができないという制約があります。自社の業務に精通しても、3年までしか居てもらえません。

一方、請負契約では期間の制約がないため、長期にわたって同じ請負事業者である企業、あるいは個人と契約を結ぶことが可能です。

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まとめ

一口に業務委託契約といっても、契約の内容によって、請負契約、委任契約など民法上は異なる契約類型になることを理解して契約の締結を行いましょう。当然のことながら契約類型によって、契約当事者の権利義務の内容は異なります。また、業務委託を結ぶ場合には、偽装請負を疑われることのないように、指示命令系統などに留意するようにしましょう。

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