外注ノウハウ
公開日: 2019.01.08 / 最終更新日: 2024.01.11

【弁護士監修】業務委託と派遣の違いは?偽装請負を避ける注意点も解説

派遣契約と常駐型の業務委託には類似する点もありますが、どのように異なるのでしょうか。そもそも業務委託とは何か、業務委託と派遣契約の違い、それぞれのメリットを解説することに加えて、偽装請負を避けるための注意点も解説していきます。

業務委託とは?

業務委託の主な種類

業務委託とは、発注者が受注者に業務の実施を委託するもので、発注者と受注者は雇用関係にはありません。業務委託契約では発注者と受注者は対等の立場であり、発注者の指揮命令下にはなく、受注者の裁量と責任のもと業務を実施していきます。

また、業務委託契約は法律用語ではなく、業務委託の多くは請負契約、もしくは委任契約という契約形態になります。

請負契約の契約形態

請負契約は仕事の完成を目的とした契約形態であり、成果物に対して報酬が支払われます。たとえば、ソフトウェア開発やオウンドメディアの原稿執筆などを業務委託したい場合に向いている契約形態です。

さらに、受注者は瑕疵担保責任を負うため、納品された成果物に欠陥や不具合が見つかった場合は、発注者は受注者に対して修正や損害賠償を求めることが可能です。

委任契約の契約形態

委任契約は業務処理を目的とした契約形態です。厳密にいうと、法律行為を委託するのが委任契約であり、法律行為以外の事務処理などを委託するのは準委任契約になります。コンサルティングや技術指導などが例として挙げられます。

委任契約や準委任契約の場合、受注者には善管注意義務があり、通常想定される注意を払って業務に臨むことを求められます。

派遣契約とは?

労働者派遣の定義

労働者派遣とは、派遣元になる派遣会社と雇用契約を結んだ労働者が、派遣元会社と派遣契約を結んだ派遣先企業に派遣され、派遣先の指揮命令を受けて派遣先の業務を遂行するものです。

労働者、派遣先、派遣元の三者間の関係は、
①派遣元と派遣労働者との間に雇用関係があり、
②派遣元と派遣先との間に労働者派遣契約が締結され、この契約に基づき、派遣元が派遣先に労働者を派遣し、
③派遣先は派遣元から委託された指揮命令の権限に基づき、派遣労働者を指揮命令するというもの(参照:厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成30年7月6日以降)」)になります。

労働者は派遣会社から給与をもらい、派遣先の企業から派遣元会社に対し、派遣契約に基づく対価料金が支払われます。派遣先企業と労働者の間には雇用関係がなく、雇用と使用が分離されていることが労働者派遣の特徴です。

業務委託と派遣契約の違い


請負契約(業務委託)であっても、請負人である会社が自社の労働者を注文者の事務所に常駐させるケースがあります。このような場合、派遣契約とは何が違うのでしょうか。

指揮命令権の有無が異なる

派遣の場合、労働者は派遣元と雇用契約を結ぶため、派遣先が労働者に対しての指揮命令権を持っています。一方、請負契約の場合は、請負人である会社の労働者は注文者から直接指揮命令を受けることはなく、自分の会社の上司から業務について指示を受けながら業務を行います。

請負契約であれば、請負人である会社の労働者が注文者の事務所に常駐して業務を行うとしても、注文者である会社と請負人である会社の労働者との間には雇用関係がなく、指揮命令下に置かれないことになります。

常駐型=偽装請負とは限らない

偽装請負とは、形式的には請負契約とされているものの、実態としては、労働者が注文者(派遣先)の指揮命令下にある場合をいいます。

注文者の事業所に常駐していれば、おのずと注文者から直接指揮命令を受ける場面が多くなることが想定できることから、偽装請負かどうかを判断するうえでは、「請負人である会社の労働者が注文者の事業所に常駐しているか否か」という点は重要な考慮要素になります。

もっとも、請負人である会社の労働者が注文者の事務所に常駐するケースのすべてが偽装請負となり、労働者派遣として派遣法の規制を受けるわけではありません。そのような場合であっても、請負人である会社の労働者が注文者から独立して業務を行える環境が確保されているのであれば、これは偽装請負とはなりません。

業務委託と派遣契約のメリット

業務委託のメリット

委託者からすれば、業務委託契約のほうが報酬額や委託期間、対象の業務の範囲などを自由に交渉できることが多く、ニーズによってはその点がメリットとなることもあります。

派遣契約の場合、派遣元から派遣された労働者を派遣先が自己の指揮命令権のもと管理する必要がありますが、業務委託の場合は請負人(受任者)が注文者(委任者)から独立して業務を行うため、注文者(委任者)が細かく指揮命令を行う必要はありません。

派遣契約のメリット

派遣契約の場合、派遣された後は派遣先自身の指揮命令によって逐一指示を与えることができるため、契約時点において抽象的な業務内容の指定をすれば足ります。業務の細かな進め方まで逐一報告を求めたり指示を行ったりしたい場合や、幅広い業務を依頼したい場合に向いています。

偽装請負とみなされるケースとは


業務委託で注文者の事業所に請負人である会社の労働者が常駐するケースでは、しばしば偽装請負が疑われて問題視されることがあります。偽装請負とみなされるケースと注意点についてまとめました。

注文者が直接指揮命令をしている

業務委託契約では、注文者は請負人の労働者に対して、業務の遂行方法や労働時間等に関して具体的な指示を出すなど、直接指示命令を行うことはできません。業務を遂行するための段取りや実施スピードの決定は請負人に任せられています。

注文者が始業や終業の時間を指定

注文者が請負人である会社の労働者に対して、始業時間・終業時間・休憩時間・休日を決めたり、残業や休日を指定したり、労働時間の管理を行ったりする行為も偽装請負とみなされます。ただし、始業や終業の時刻や休日を単に把握することは問題のない行為です。

また、始業時間や終業時間に対して要望がある場合は、請負人である会社の責任者に話し合いを申し入れたうえ、請負人である会社の指示系統の中で指示が行われる分には問題はありません。

ただし、その場合であっても、請負人である会社が注文者の言いなりであるような場合は、実質的にみて注文者からの指示命令による指定がなされたと判断される余地があります。

注文者が従事する労働者を選定

請負契約では、注文者が請負人である会社の労働者の中から、自社の委託する業務に従事する人材を選定したり、業務を遂行するのに必要な人員の数を指定したりすることはできません。

また、請負人である会社の労働者に対して評価を行うことも偽装請負とみなされる行為です。従事する労働者の数や担当する人材の選定は、請負人である会社側に委ねましょう。

注文者が服務上の規律を規定

請負契約を結ぶ請負人である会社の労働者は、注文者の指揮命令下にはなく、注文者が自社の社員規則などの服務規定を守るように直接的に通達を行うことや、遵守するように管理をすることはできません。一方で、請負人である会社が自社の労働者に対して注文者の服務規定などのルールを通達したり、管理を行ったりすることは問題のない行為です。

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まとめ

派遣契約と常駐型の請負契約は混同されることもありますが、似て非なるものです。違法行為となる偽装請負とみなされることのないよう契約内容に留意するとともに、直接指揮命令を行わないよう実際の運用でも注意しましょう。

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