インターネットの普及により、店舗へ行かなくても商品の購入ができ、テレビや新聞を見なくてもSNSやWebサイトで情報を得られる時代になりました。それにどもない、従来の流通チャネルやコミュニケーションチャネルごとに戦略を立てるマーケティングではなく、チャネルを区別しない、もしくはネットでもリアルでも通用する「オムニチャネルマーケティング」が主流となっています。
この記事では、ウェブ時代における効果的なマーケティングチャネルについてご紹介します。
目次
3種類のマーケティングチャネルとは?
「マーケティングチャネル」とは、メーカーが作った製品や提供するサービスが、消費者の手元に届くまでのルートや関わる組織のことを言います。
マーケティングチャネルは、どのように流通しているのかを示す「流通チャネル」、販売に関わるプロセスを示す「販売チャネル」、製品・サービスについて消費者に必要な情報を提供する「コミュニケーションチャネル」の3つに分類することができます。
流通チャネル(流通手段・経路)
流通チャネルとは、商品やサービスを販売する側から、購入する消費者へ届くまでの経路や手段のことを言います。例えば、配送や輸送をまかなう物流業者や、問屋、卸売業者、小売業者などが含まれます。
流通チャネルは、直接流通チャネル(直販)と間接流通チャネルに分けられます。とりわけ間接流通チャネルはそのチャネルの長さによって3段階に分けられます。
販売チャネル(販売方法)
販売チャネルとは、消費者が実際に商品を購入する場や販売方法のことです。スーパーなどの店舗・小売業者やECサイトなどのことを言います。
コミュニケーションチャネル(情報伝達経路)
コミュニケーションチャネルとは、商品の情報を消費者などに知らせる伝達手段や経路のことを言います。
テレビ、新聞、雑誌等のマスメディアのほか、交通広告、チラシ、WebサイトやWeb広告、Facebook・Twitter(X)等のSNSなどを含みます。
自社の商品を消費者に認知してもらう方法や、購買行動につなげる効果的なアプローチ手法、Webマーケティングの種類などについては、以下のページでまとめています。
関連記事:ウェブマーケティングの手法・種類とは?認知から購買行動までを解説
流通戦略におけるチャネルの長さとは?
3種類のマーケティングチャネルの中で、流通チャネルの特有の概念として、「チャネルの長さ」を挙げることができます。これは商品やサービスが作られてから消費者の元までたどり着く「長さ」のことで、直接流通チャネル(直販)は0段階チャネル、間接流通チャネルは3段階に分かれます。
0段階チャネル
メーカーなどの自社から消費者へ直接販売する「直販」のことを0段階チャネルと言います。最近のeコマースの普及により、メーカーや食品生産者などが、自社のサイトで直接販売するケースが当たり前となっているので増加傾向にあります。
1段階チャネル
1段階チャネルは自社から小売業者を通して消費者に販売するパターンです。メーカーなどが、小売の実店舗を通じて販売を行う形態となります。
直販が増え中間マージン無しの低価格販売が一般的になり、マージンが必要となる卸売業者を通さないで、直接メーカーや生産者から仕入れる、いわゆる「中抜き」をするこの流れを選択するコンビニや大規模量販店が増えています。
2段階チャネル
2段階チャネルは自社から卸売業者を介して小売業者に卸し、消費者に販売するパターンです。
スーパーや量販店など商品単価が低くたくさんの商品を扱う店舗では、商品のカテゴリーごとに卸売業者が介入するのが一般的です。例えば、食料品全般を扱う卸売業者、衣料品を扱う卸売業者などのカテゴリーによって分けられています。
3段階チャネル
3段階チャネルは自社から卸売業者、さらに二次卸売業者を介して、小売業者に卸し消費者に販売するパターンです。
最近では二次卸売業者が中抜きされることが多いですが、文具業界などはいまだこの慣習が残っています。
ウェブ時代のマーケティングチャネルとは?
インターネットの普及で変化するチャネル
インターネットやスマホの普及によって、消費者が直接メーカーや生産者から購入できるようになりチャネルが単純化する一方で、いつでもどこでも商品情報を得たり購入ができるようになったので、実店舗だけでは無く、あらゆる場面で消費者と接点を持つ「オムニチャネル」という考え方が主流になっています。
オムニチャネルとは、販売チャネルである実店舗やECサイトだけではなく、コミュニケーションチャネルであるマスメディアやSNSなども含めて、チャネルの種類やネット・リアルに関わらず、あらゆる接点で消費者とコミュニケーションしようとする考え方、戦略のことです。つまり、「どこで何を売るか」ではなく、「誰にどのように買ってもらうか」という視点で、コミュニケーションの接点を構築するというマーケティング手法であると言えるでしょう。
自社商品のオムニチャネルを構築する際は、販売の場であるリアル店舗やECサイト、情報を伝え拡散するマスメディア、イベント、Webサイトなどを、自社商品やサービスの特性に合わせて、効率的な販売が可能となる手段を選択することが大切です。そのためには、見込み客や顧客のペルソナをしっかりと分析し、そのニーズと購買行動に合致する手段を選んで、良質なコンテンツを発信することが重要となります。
ウェブ時代のマーケティングチャネルとして、特に効果が期待できる手段は、消費者同士が自ら拡散し、新規顧客の獲得も見込めるFacebookやTwitter、InstagramなどのSNSと言われています。SNSの発信者の中には、「インフルエンサー」と呼ばれる大きな影響力を持つ人がおり、彼らを活用するのも有効な手段のひとつです。
オムニチャネルのメリット・デメリット、類似ワードとの違い、オムニチャネル導入に成功した企業事例などについては、以下のページで詳しく紹介しています。
関連記事:【簡単解説】オムニチャネルとは?メリットや企業の成功事例も紹介
インフルエンサーの影響力を活用
インフルエンサーとは、SNSやYouTube等において、一般人の商品の購買や行動に対し強い影響力を持つ人物のことを言います。芸能人やスポーツ選手など、有名人のフォロワーが多いのと同様に、ある特定分野における知見が高く、熱心に情報発信を行います。一般人でありながら数十万ものフォロワーをかかえる人もおり、その人の発信によって商品が売れ、話題になったり、ブームが起きたりなど、社会を動かす力を持つ人もいます。
インフルエンサーマーケティングとは、こうした影響力のあるインフルエンサーを活用して、自社商品やサービスを効率よくアピールし購買につなげる手法のことです。インフルエンサーマーケティングでは、一般的にフォロワー数が多いという指標だけではなく、自社商品情報を届けたいコミュニティに影響力のあるインフルエンサーを選びますが、自社の思いよりもインフルエンサー個人の好みや考え方により発信されるため、必ずしも狙い通りの発信になるとは限りません。
また、いわゆる「やらせ」のようなステルスマーケティングとして捉えられないようにすることや、インフルエンサーの悪い噂もすぐに拡散しやすいデメリットもあるため、細心の注意を払いましょう。
インフルエンサーマーケティングのメリットや注意点、インフルエンサーを起用した企業事例などについては、以下のページを参照してください。
関連記事:インフルエンサーマーケティングとは?効果と成功事例を紹介!
オムニチャネル戦略の事例
ここでは、イオングループとセブン&アイホールディングスのオムニチャネル戦略の一例を紹介します。
イオン:EC強化とリアル店舗の提携を急ぐ
流通大手のイオンでは、2018年にデジタル推進統括部の中に「オムニチャネル推進室」を配し、2018年初に、ECのマーケットプレイスへ参入する計画を発表し、2020年までに5000億円を投資して、EC化率を現在の0.7%から12%へ引き上げるほか、食品分野のEC強化、リアル店舗のデジタル化による連携強化などを発表しました。EC分野の取組強化で、オムニチャネル化を加速させています。
実際のオムニチャネルの取組は、イオングループのポータルサイトによる「AEON.com」の運用しているイオンドットコムが行っています。現状グループ内に29あるECサイトをポータル上にリンクを貼っているだけでは、消費者が商品を買おうとした際、その商品の売っているECサイトへ遷移するだけですが、将来的には「AEON.com」内で購入できるようにし、貯めたポイントを、リアル店舗でも使えるような連携を目指しています。
セブン&アイホールディングス:アプリで会員向けサービスを充実
2015年にセブン&アイホールディングスは、「Omni7(オムニセブン)」を発表し、インターネットとリアル店舗を連動させ、場所や時間に制約されずに買い物ができるシステムをスタートさせていました。さらに2018年には、集約した顧客データを利用したCRM戦略を展開することを発表しました。
「イトーヨーカドーアプリ」はその戦略の一つです。グループの会員プログラム「セブンマイルプログラム」と連動し、ヨーカドーのリアル店舗やネットスーパー、オムニセブンやセブンイレブンを利用するごとにポイントが貯まり、ポイント数に応じて特典が得られ、クーポンやセール情報も配信することで、来店や購買を促すといった仕組みになっています。
マーケティングチャネルに関する相談・依頼は「クラウドワークス」へ
マーケティングチャネルに関する相談・依頼をする際は、さまざまなスキルを持つ人材が登録しているクラウドソーシングサービス(※)を利用する方法がおすすめです。なかでも業界最大手の「クラウドワークス」は登録ワーカー数が480万人を超えており、マーケティングプランナーやコンサルタント、リサーチャーなどが多数登録しています。
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登録ワーカーのプロフィールを見れば、実績や経歴、保有資格、得意ジャンル、目安料金などを確認できるため、希望する条件に合った人材を探すことができます。依頼する目的や用途に合わせて、「マーケティング」「戦略コンサルティング」「市場調査」「データ収集・解析」といったカテゴリで登録ワーカーを絞り込み検索することも可能です。
また、自社に適したマーケティングチャネルの戦略立案や、効果的に集客する方法などをWebマーケターや企画コンサルタントに相談することもできます。そのほか、クラウドワークスはECサイトの運用代行、商品登録作業代行、SNSのバズマーケティングや集客、SNSの運用代行などを外注する際にも利用されています。
(※)クラウドソーシングサービスとは、仕事を外注したい人・受注したい人をインターネット上でマッチングするサービスのこと
まとめ
インターネットが普及し、いつでもどこでもモノが買える時代において、「オムニチャネルマーケティング」が非常に重要な役割を果たすでしょう。自社の商品やサービスの特性や、見込み客のペルソナをしっかりと分析し、最適なオムニチャネル戦略を構築することが重要です。