新聞やテレビ、雑誌などを利用したマスマーケティングが飽和状態にあるなか、エンゲージメントマーケティングが台頭し、広く注目され始めています。そこで、エンゲージメントマーケティングとは何か、これから始めるためには何をすればよいのかを説明し、さらに企業の成功事例も紹介していきます。
目次
エンゲージメントマーケティングとは?
簡単にエンゲージメントマーケティングの概要を説明していきます。
エンゲージメントの意味
エンゲージメントとは、もともと婚約や約束などを意味する言葉。このことから、エンゲージメントマーケティングという単語は、顧客とのつながりや関与度を強くしたり高めたりするマーケティングのことを指しています。
エンゲージメントの必要性
顧客とのつながりや関与度を高めるマーケティングがなぜ注目され始めたのでしょうか。端的にいえば、今までのマスマーケティングが通用しなくなっているからです。
時代に応じたマーケティング手法
エンゲージメントマーケティングは、まさに時代に適合したマーケティング手法と言えます。
今まで主流だったマスマーケティングは、テレビなどのマス媒体を利用した画一的な広告などによるマーケティング手法でした。しかし、現在ではスマホなどのモバイル媒体や消費者同士でコミュニケーションできるソーシャルネットワーク、ソーシャルメディアが普及。マス広告を見る機会や時間は減り、さらに企業が発信する一方的なメッセージが届きにくくなりました。
こうしたことから、企業はマス向けではなく、より小規模な、消費者個人単位に向けてのマーケティングを行う必要があります。例えば、ソーシャルメディアやソーシャルネットワークを通じて個別にメッセージを送り、消費者の購買意欲を誘うなどです。エンゲージメントマーケティングへの転換は、時流に乗るためのひとつの手段と言えるのです。
エンゲージメントマーケティングに大切なMAの導入ステップは?
MAとは「マーケティングオートメーション」の略語で、メールやSNSなど、マーケティングで用いるツールを自動化して運営することを指します。MAを導入することで顧客データベースを管理できたり、マーケティング施策に対しての人手も押さえたりすることができます。
それでは、MAの導入・運用ステップを見ていきましょう。
ペルソナとストーリーを設計する
まずはペルソナとストーリーを設計しましょう。ペルソナを作るためには、まず現在の顧客を切り分け、類型化する必要があります。例えばメルマガマーケティングを行っていた場合、どんな属性の顧客が購買に至っているのか、購買に至っていない顧客の属性はどんなものが多いのかをリスト化していきましょう。その後、属性に合わせたペルソナとストーリーの設計に移ります。
具体的なペルソナの設定方法はこちらの記事をご覧ください。
関連記事:ペルソナを設定するには?マーケティングに使える項目や方法を紹介
シナリオに沿ってメールを送り顧客動向を知る
続いて、シナリオに沿ったメールを送り、どんなカスタマージャーニーをたどるのか顧客動向を把握しましょう。ペルソナで切り分けたセグメントごとのシナリオ→メール送付→顧客の反応→顧客動向の把握といった流れの中で、訴求ポイントの見直しやABテストなど行っていきます。
カスタマージャーニーについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
関連記事:カスタマージャーニーとは?作成する3つのメリットと作り方を解説!
One to Oneコミュニケーションを実現する
顧客の動向を把握し、ある程度顧客の動きが把握できるようになった後は、One to Oneコミュニケーションを進めていきます。ここではメールの文面だけでなく、ウェブサイトのコンテンツもセグメントごとに切り口を分けたものを用意するとより効果的です。
例えば、単身者向け、ファミリー向け、シニア層向けといった形で商品を紹介する切り口を分けていっても良いでしょう。
分析して改善する
One to Oneコミュニケーションを行いながらマーケティングを進め、その成果について分析を行います。「もっとこうしたほうがよかった」「こうすれば違った結果が出たかもしれない」など、改善点があれば次のフェイズに実行します。
エンゲージメントマーケティングの成功事例は?
エンゲージマーケティングの方法がわかったところで、企業による成功事例をチェックしていきましょう。各企業の事例の中に成功ポイントが隠されているので、参考にしてみてください。
電話を使い顧客と対話した「ザッポス」
出典元:Zappos.com
「ザッポス」は靴の販売を主軸とするアメリカの通販会社です。自前の巨大コールセンターが武器で、電話による顧客との対話に力を入れています。一人の客に何時間も電話対応するなどの採算度外視のカスタマーサポートを展開しています。
その結果、エンゲージメントを高めるだけでなくブランディングにも成功しました。一時はAmazonを脅かす存在となったものの、実はそのAmazonに買収されています。しかし、買収後もその圧倒的な顧客満足度とリピート購入率を武器に、通販企業として名を残しています。
ストーリー性をもたせた「パタゴニア」
出典元:パタゴニア
アウトドア用品・衣料品などを手掛けるアメリカのブランド「パタゴニア」ですが、顧客とのエンゲージメントを高めるために、Facebookを利用したCSRに関する取り組みを公開。ブランドを利用していることに対する安心感を抱いてもらう仕掛けを作っています。また、クオリティの高いコンテンツも同社の商品を利用する顧客のアイデンティティをうまく引き出しています。
システムをシンプルにした「三井住友カード」
出典元:三井住友カード
「三井住友カード」は、サイトを事業者目線からユーザー目線にリニューアルしました。以前のサイトは複雑な構成で、銀行側がアピールしたいものを前面に押し出したサイトになっていたものでした。
しかし、そこから離脱傾向などの計測やWebアクセス解析などを行い、新たにカスタマージャーニーを分析。サイトリニューアルのタイミングに合わせてアプリなどもリニューアルした結果、アクセス数は9倍の30万〜40万アクセスという成果を得ています。
まとめ
エンゲージメントマーケティングは、コンバージョン数の改善や既存顧客へのアップセル・クロスセルの増加、通常顧客のロイヤルカスタマー化など、継続的な売り上げ増大を見込めることが特徴的です。ぜひ挑戦してみてください。