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公開日: 2023.06.25 / 最終更新日: 2023.12.28

ABC分析を活用して経営管理効果を実現!具体的な方法を解説

ABC分析とは、数ある指標の中から重視する評価軸を決め、優先度の高い順にA・B・Cの3グループに分類・管理する分析フレームワークで、「重点分析」と呼ばれることもあります。本記事では、経営戦略の立案やマーケティング強化のための手法として活用されるABC分析について解説します。

ABC分析による経営管理の概要

ABC分析はもともと在庫管理で用いられることが多い分析手法でしたが、現在では品質管理や得意先管理、マーケティング戦略など「経営に直結する分野」での活用法にも注目されています。ABC分析によって現状を可視化し、注力すべき商品や顧客層などを把握することで、事業の効率化・企業の経営力向上につながります。また、定点観測としてABC分析を実施すれば、実態を反映した本質的な経営戦略を立案しやすくなります。

パレートの「80:20の法則」とABC分析

パレートの「80:20の法則」とは、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した「べき乗則」です。経済における数値の大部分は全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているとするもので、「ばらつきの法則」とも呼ばれます。

ABC分析では、”売上の8割は全体の2割の商品が生み出している”とする「80:20の法則」にもとづき、商品を重要度の高いものからA・B・Cに分類して管理を行います。すべての商品を均等に扱うのではなく、売上への貢献度が高い商品を優先的に取り扱うことで、高い費用対効果が期待できます。

商品やサービスの売り上げを効率化

ABC分析を行うことで、どの商品やサービスが売り上げに貢献しているかが明確になります。分析結果をふまえれば、「売れ筋商品の在庫を切らさない」「売れていない商品の販売をやめる」といった判断もしやすくなります。売上高の内訳を数値化できるため、定期的な計測と比較が容易な点もABC分析のメリットです。またABC分析は、統計学やデータ分析の経験がない人でもExcelで簡単に実装でき、問題点の発見から業務の改善まで効率的に業務を進めることができることも特徴のひとつと言えるでしょう。

ABC分析の構成グループ

ABC分析では、商品別の販売数や売上額などの指標から重視する評価軸を決め、商品を累積構成比の多い順にA・B・Cの3グループに分けて管理を行います。まずは指標に沿い、優先順位別にグループ分けをしましょう。

Aグループ:重要な資源を含む、最も重要なグループ

重要な資源を含む最も重要なグループを、Aに分類します。

Bグループ:重要な資源を含む、次に重要なグループ

重要な資源を含む次に重要なグループを、Bに分類します。

Cグループ:重要な資源を含まない、最も重要でないグループ

重要な資源を含まない最も重要でないグループを、Cに分類します。

ABC分析の具体的な進め方

ABC分析とは、優先順位を決めて効率的に管理できるようにするための分析手法です。ここではABC分析の具体的な進め方について解説します。

構成比を計算する

指標とする売上金額、粗利額、販売個数などの商品別データを構成比の多い順に並べます。次に、その商品が全体に占める割合を示す「構成比」を以下の式で求めます。

構成比=対象商品の数値÷商品全体の合計値

グループごとに累計構成比を算出する

累計構成比とは、各項目の構成比を累積した値を指します。構成比の多い順に構成比を合算していき、累積構成比を基にA・B・Cのグループ分けを行いましょう。グループについてはすでに紹介したため、【ABC分析の構成グループ】を参考にしてください。

ABC分析の具体的な活用方法

ABC分析に用いる指標は「売上」に限ったものではなく、事業内容によって「販売個数」や「粗利額」などのケースも考えられます。ここでは、ABC分析を具体的に活用する方法について見ていきましょう。

商品の効率的な購買

商品の重要度に応じてAグループ・Bグループ・Cグループと分類することで、重点的に購買を行うべき対象が明確になります。たとえば、トップ20%を占める重要商品に注力して管理することで、売上全体の80%分をカバーすることができ、効率的な購買が実現します。事業内容に応じて指標やグループの割合を変動させ、適切な条件で分析を行うことで、より勾配の効率化を図ることができます。

分析結果を活用し、さまざまな視点(購入先や購入数量、購買条件など)から業務改善を目指しましょう。

販売チャネル選定の見直し

ABC分析を使用して販売チャネルの選定を見直すこともできます。ABC分析で販売チャネルごとの売上額を分析することで、マーケティング施策の選択と集中が可能です。逆にABC分析でCグループに分類される販売チャネルについてはマーケティング施策の優先度を下げるなど、売上に貢献している販売チャネルから施策を進めると良いでしょう。優先順位の明確化によって、多角的なアプローチが可能になります。

販売コストの低減

ABC分析は、売上のほか、商品の数量・コスト・在庫・不良品・成長率などのデータをランク付けすることも可能です。また、指標を増やすことが複合的な分析にもつながります。

コスト分析ではまず、原材料費や人件費・運送費・光熱費などのコストを金額ごとに分類し、累積構成費に応じてグループ分けしましょう。次に売上への貢献度とコストのインパクトを総合的に判断し、費用対効果の低いコストから削減すると効果的です。

購買行動の分析

ABC分析を使って、顧客の購買行動を分析することも可能です。たとえば顧客ごとの利益率をデータ化して分析を行うことで、重要視すべき顧客が明確になります。顧客ごとに営業方法や販売方法を変えるなど、重要度に合わせたアプローチを行いましょう。

ABC分析の注意点

ABC分析に限ったことではありませんが、いかなるフレームワークも万能ではないため、注意すべき点があります。ここではABC分析を活用する際の注意点について解説します。

ロングテール戦略の検討

ABC分析ではAグループに分類される主力商品を「ヘッド」、売り上げが低いCグループの死に筋商品を「テール」と呼びます。Cグループに分類された商品が長期間売れ続けることで大きな売上構成比を占めることがあり、これをロングテールの法則と言います。売り場面積に限りのある実店舗では、Cグループの商品を陳列し続けるのは困難ですが、オンラインストアではCグループの在庫を抱えることも大きな負担にはなりません。

このようなロングテール戦略が有効な業態においては、たとえCグループに分類された商品であっても慎重に施策を取る必要があるという点に注意が必要です。

季節要因の変数干渉

ABC分析でAグループに分類されている商品の中には、季節性のある商品一時的な人気に支えられている商品があることも覚えておかなくてはいけません。急激に大きな売上を出しても一過性の人気で終わってしまう商品もあれば、「季節要因による一時的な売上である」と分析されていた商品の人気が継続して定番商品に成長する可能性もあります。

ABC分析を行う際には、全期間における分析と一時点での分析を組み合わせて行う必要があるでしょう。

業界・商材ごとに経験豊富な専門人材の活用を

ABC分析をより効率的に活用したいのであれば、専門人材の登用も視野に入れましょう。業界や該当商材の経験値が高い人材であれば、指標の立て方から結果の適切な分析、課題を解決する施策の提案まで、ABC分析の効果的を最大化することができます。専門人材を配置し、分析の精度を高めることで、スムーズな経営判断を実現してください。

クラウドソーシングTimes編集部
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