業務効率化
公開日: 2019.03.31 / 最終更新日: 2023.12.18

生産性を分析する指標とは?KPIに使う指標や生産性の高め方を解説

働き方改革が進む中、自社の生産性を高めたいと考えている企業は多いでしょう。生産性を高めることは企業の必須課題です。今回は生産性についての基本知識はもちろん、生産性分析で使う指標や生産性を高める方法を紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

労働生産性を上げる必要性とは?
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そもそも生産性とは?


ビジネスシーンにおいては、「労働生産性」という言葉は日常的に使われます。では、労働生産性を具体的な数値で出すときの正しい出し方をご存じですか?

生産性についての基本知識

労働生産性とは、「労働者1人あたりが生み出す成果」もしくは「労働者1人が1時間あたりに生み出す成果」を表します。産出(労働で得られた成果、価値)を投入(労働投入量)で除することによって求められます。労働生産性が高い場合、利益が大きいことを表しているだけでなく、労働者が効率的に働いていることも示しています。

労働生産性=算出(成果や価値)÷投入(労働者数)

なお、労働生産性は「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」の2種類に分かれるため、適切に使い分けなければなりません。物的労働生産性は、産出を「生産量」や「販売金額」とした場合の労働生産性を意味します。一方で、付加価値労働生産性は、産出を「付加価値額」とした場合の労働生産性を意味し、利益最大化のための指標として用いられることが多いです。

生産性分析とは財務分析のひとつ

あらゆる財務分析の中でも、投入してきた経営資源(ヒト・モノ・カネ)がどのくらいの成果につながったのか、いかに付加価値(詳しくは後述)を生み出したのかを見るのが生産性分析です。「一人あたり」「ひとつの機械あたり」「資金〇円あたり」などと細かく分析するため、企業を経営していく上では欠かせない分析方法です。

企業の効率性や生み出した付加価値を分析するため、インプットを抑えながらアウトプットを最大化するための課題の発見につながります。また、生産性分析によって従業員一人あたりの付加価値が算出できることから、この数値を企業の目標にすることができ、従業員のモチベーション向上につなげることもできます。

生産性分析の基本的な用語は?


生産性分析を行うにはベースとなる指標を知ることが重要ですが、正しい分析を行うためにも、まずは生産性分析をする上で重要な3つの基本用語を理解していきましょう。

投入量

生産性分析における投入(量)とは、「労働者数」または「労働者数×労働時間」を意味する場合が多いです。企業が利益を上げるために投入した経営資源(ヒト・モノ・カネ)の量、と考えることもできます。

得られる成果が同じである場合、投入量は少なければ少ないほど生産性が高くなります。ただし、労働投入量を減らすと、それに伴ってさまざまなリスクも発生するので注意する必要があります。

産出量

生産性分析における産出(量)とは、労働によって生み出された成果や価値を意味します。物的労働生産性を考える場合には「生産量」や「販売金額」として、付加価値労働生産性を考える場合には「付加価値額」として捉えてください。

投入量が同じである場合、産出量は多ければ多いほど生産性が高くなります。つまり、企業が生産性を向上させるためには、より少ない投入量でより多くの産出量を得られるよう改善しなければなりません。

付加価値

生産性分析における付加価値とは、企業において新しく生み出された価値や追加された価値を意味します。付加価値の計算方法にはいろいろありますが、主に「控除法」と「加算法」の2種類に分類されます。

控除法の付加価値計算とは、引き算で計算することを示しており、商品の売上高から材料費や運送費などの外部に支払った金額を引きます。つまり、控除法で出す付加価値とは、売上高と外部購入価値の差額であることを表します。

「控除法」付加価値=売上高-外部購入価値(社外に支払った金額)

加算法の付加価値とは、足し算で計算することを示しており、「付加価値とは製造過程で積み上げられていくもの」という考え方をベースにしているため、経常利益に人件費や賃借料などを加算した合計になります。

「加算法」付加価値=経常利益+人件費+減価償却費+賃借料+金融費用+租税公課

生産性分析で使う指標や計算式とは?


生産性分析を行う上で知っておきたい指標をいくつか紹介します。

労働生産性

すでに上でも計算式を紹介しましたが、労働生産性は業務効率化のためには欠かせない指標です。従業員一人ひとりが生み出した付加価値を求めます。労働生産性は高ければ高いほどよく、より少ない投入資源でより多くの成果を産出することが、経営の効率化や企業のさらなる成長には欠かせません。

労働生産性=産出(生産量や付加価値額)÷投入(労働者数または労働者数×労働時間)

生産性を高めることは、会社の利益を上げることだけでなく、従業員の給料を増やすことにもつながります。なお、計算式からも分かるとおり、労働生産性を上げるには付加価値を上げる、または従業員を減らすのどちらかしかありません。現実的に考えてそう簡単に従業員数は減らせないものです。そのため、いかにして付加価値を上げるかが重要になってくるでしょう。

労働分配率

労働分配率とは、企業が産出した付加価値のうち、人件費(賃金給料、福利厚生費、退職金など)として労働者に支払われた割合を指します。付加価値のうち、一体何%が人件費としてかかっているのかを知る指標です。

労働分配率=(人件費/付加価値)×100

労働生産性は高ければ高いほど好ましいですが、労働分配率の場合はそのかぎりではありません。利益を増やすことを優先するあまりに人件費を削減して分配率を低くすると、従業員の働き方やモチベーションなどに影響を及ぼします。逆に高すぎると赤字に転落してしまい、事業が困難に陥るリスクが大きくなります。

そのほかの指標

労働生産性と労働分配率以外の指標として、有形固定資産回転率、労働装備率、売上高付加価値率、総資本回転率があります。それぞれ簡単に説明します。

有形固定資産回転率

有形固定資産回転率とは、有形固定資産を効率的に活用しているか、稼働状況は良いのかを判断する指標です。「固定資産」として有形固定資産・無形固定資産・投資資産を一括りにした、固定資産回転率としての指標もあります。

有形固定資産回転率(回)=売上高÷有形固定資産×100

基本的にはこの数値が高いほど良いと判断します。有形固定資産回転率はその名のとおり「回転率」で表すので、回転率が高い=少ない固定資産額で効率的に収益を生み出している、ということです。

労働装備率

労働装備率とは、従業員一人あたりの設備投資額を求める指標です。土地や建物、設備などの有形固定資産が、従業員一人あたりに対してどのくらい割り当てられているのかを表します。

労働装備率=有形固定資産÷従業員数×100

売上高付加価値率

売上高付加価値率とは、その名のとおり売上高に対しての付加価値の割合を求める指標です。自社のモノやサービスに対しての加工度の高さを表す指標となり、企業の収益性を判断するひとつの目安となります。

売上高付加価値率=付加価値÷売上高×100

総資本回転率

総資本回転率とは、総資本(純資産)が企業の利益にどれだけ有効活用されているのかを判断する指標です。仕入~売上~回収の一連の流れがスムーズで、この一連の回転が多いほど限られた資本で売上を作り出していると判断できます。

総資本回転率=売上高÷総資本×100

生産性分析の活用事例


具体的な数値を用いて、下記の企業の付加価値、労働生産性、労働分配率を求めてみましょう。なお、付加価値については「控除法」を用います。

労働者数:60人
売上高:40,000,000円
外部購入価値:10,000,000円
人件費:18,000,000円

こちらの条件をもとに計算してみましょう。

付加価値=売上高-外部購入価値=40,000,000-10,000,000=30,000,000円
労働生産性=産出(付加価値)÷投入(労働者数)=30,000,000/60=500,000円
労働分配率=(人件費÷付加価値)×100=(18,000,000/30,000,000)×100=60%

上記の企業は、30,000,000円の付加価値を生み出し、そのうちの60%を人件費として労働者に分配していることが分かりました。また、労働者1人あたり500,000円の付加価値を生み出しています。これらのデータを同業他社と比較したり、改善したりすることで、経営の質を向上させていくことができます。

企業の生産性を高めるには?


最後に、企業の生産性を高める具体的な方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

魅力的な商品で付加価値率を高める

企業の生産性を高める方法としては、付加価値率を向上させることが挙げられます。すでに上でも紹介しましたが、付加価値率を向上させるには、まず売上高を上げなければなりません。そのためには今まで以上に魅力的な商品やサービスをつくり、提供していく必要があります。

また、外部購入価値を引き下げることも重要です。仕入単価を抑えたり、外注工程の一部を内製化したりすることで、付加価値率が向上する場合もあるでしょう。

有形固定資産回転率を高める

生産性を向上させるためには、有形固定資産回転率を高めることも大切です。有形固定資産回転率とは、効率的な設備投資ができているかどうかを見る指標です。以下のような取り組みを行い、回転率を上げてみてください。

・受注を増やすことで、設備の稼働率を最大化する
・有効的な設備投資を行い、効率性を上げる
・有効的な設備投資を行い、加工・製造技術などを上げて付加価値を高める

外部化で一人あたりの売上高をあげる

従業員がムダな業務や単純作業に時間を割いていては、従業員一人あたりの売上高は伸びません。一人あたりの売上高を伸ばすためには、労働時間は増やさずに、従業員をコア業務に専念させる必要があります。そのためには、たとえばクラウドソーシングなどを活用してノンコア業務をアウトソーシングすることもひとつの手です。

コア業務、ノンコア業務についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
関連記事:コア業務の定義とは?コア業務に集中するメリットや方法も徹底解説!

【無料ダウンロード】従業員が業務に集中できる環境を整えるためには、コア業務以外をクラウドソーシングに外注することが有効です。利用企業500社のアンケート結果をぜひご覧ください。

ノンコア業務の外部化に役立つサービス

ムダな業務や単純作業を外部化することで、各従業員はよりコアとなる業務にだけ時間を使うことができます。そこでおすすめなのはクラウドソーシング。アルバイトなどを採用することに比べて固定費がかからないため、変動費化できて最低限のコストで抑えられます。

クラウドソーシングはインターネット上で仕事を発注できる仕組みで、依頼相手となる人は全国にいる「その道のプロ」です。従業員があらゆる業務と同時進行でノンコア業務を進めていくことに比べると、効率や正確さが格段に変わってくるでしょう。

クラウドワークス

クラウドワークスは、企業と個人がインターネット上で仕事を受発注できる「クラウドソーシングサービス」のひとつです。多くの企業が発注しているコンテンツ制作、ビジネス事務、デザイン、開発だけでなく、専門性が高く需要が伸びてきている写真・映像や、翻訳、コンサルタントなども外部化できます。

依頼相手となる個人は、開発系やコンサルタント、動画制作など、専門性や難易度が高い作業ほど報酬は高くなり、専門性が低くなるほど報酬は低くなります。あらゆる仕事を外注できるため、依頼したいカテゴリーの平均発注額を把握しておきましょう。

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生産性についての基本知識や生産性分析で使う指標などを紹介しました。少子高齢化・労働力不足が進む中、生産性を高めることは企業の必須課題だと言えます。ぜひ当記事を参考にして、生産性を向上させてみてください。

実際の成功事例から紐解く、
チームの生産性がアップするポイントとは?

「働き方改革」が進む中、企業での生産性の改善は急務です。昨今の市場トレンドとともに成功事例も紹介します。

【こんな方におすすめ】
・生産性アップのポイントを知りたい
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にしすん
早稲田大学商学部卒業後、コンサルティング会社で人事業務を担当。新卒・中途採用全般に携わる。 その後、フリーランスとして独立。WebマーケティングやWeb広告の分野で活躍中。マーケティング・金融・会計・人事労務など、幅広い知識を持つ。

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