マーケティングの必要性は近年認知されていますが、実際に分析しうまく実行に移すというのは、大変むずかしい作業であるといえるでしょう。
この記事では、読んでいただいた後に実行に移すことができるように、マーケティングの基本的な知識から、実際にフレームワークをどのように活用するのかまで、成功事例とともに解説しています。商品・サービスをどのようにしてヒットさせるか検討する際、ぜひ参考にしてみてください。
目次
マーケティング分析とは?
マーケティング分析は正しい戦略・戦術を立てるために欠かせないプロセスです。消費者は何を求めているのか、競合の商品・サービスとは何が違うのか、どのように情報を届けたら効果的か、などあげればキリがない疑問が生まれますよね。それらををクリアにするために行うのがマーケティング分析です。
マーケティング分析の必要性とは?
マーケティング分析は「勝てる戦略・戦術を立てるため」、また「その成功確率を上げるため」に必要と言えます。さらに実行した戦略・戦術が成功したのか、改善の余地があるのかを把握するためにも用いられます。
マーケティング分析のトレンド
フィリップ・コトラーによると時代によって以下のように進化していると述べられています。
マーケティング1.0(1900−1960年代):製品重視
大量生産・消費が行われた製品中心の時代だったで、作れば売れるという考え方が主流で「コストを抑えて大量に作り、できるだけ多くの人に伝えるには」という発想の下、4P(Product/Price/Place/Promotion)を用いた分析が主流でした。
マーケティング2.0(1970−1980年代):消費者重視
テクノロジーの発展で安く早く大量生産が可能となり、似たような製品が出回るようになりました。売り手側は差別化をはかるべく、消費者を知るために広く用いられるようになったのがSTP(Segmentation/Targeting/Positioning)分析です。
マーケティング3.0(1990−2000年代):価値重視
1990年以降はインターネットの登場により情報を簡単に入手できるようになりました。性能が良いという事だけでなく、口コミや企業イメージでさえ購買行動に影響を与える時代です。よりエモーショナルなマーケティングが不可欠となりました。
マーケティング4.0(2010−現代):自己実現重視
2010年以降はSNSの登場により個人からの情報発信が可能な時代となりました。自分らしくいることが重視されるようになり、最も精神的充足が満たされるもの、感動体験を得られることを選択するトレンドです。個人に目を向けた消費行動を分析することが新たな手法として用いられるようになりました。
マーケティング分析のメリット
マーケティング分析のメリットは三点あります。一つ目は『現在のマーケティング施策を改善するため』です。現在の施策が計画通り進んでいるか、購買に繋がり利益を生んでいるか分析することで素早い改善活動が可能になるでしょう。
二つ目は『競合他社と比較し強みを伸ばすため』です。他社との比較分析により改めて自社の強みを認識することが出来ます。
三つ目は『次の打ち手を考えるため』で、変化する消費者のトレンドに合わせて次の施策を競合より先に実行できることを指します。
マーケティング分析のフレームワークとは?
マーケティング分析をする上で基本となる3つのフレームワークをご紹介致します。
3C分析
顧客(Customer)と競合(Competitor)、自社(Company)の略で、主に商品やサービスを検討する際に用いられる手法です。どのようなニーズがあるのか(Customer)、競合はどのようなラインナップを持っているか(Competitor)、自社商品の特徴は何か(Company)といった視点で分析する際に用いることができます。
STP分析
セグメンテーション(Segmentation)とターゲティング(Targeting)とポジショニング(Positioning)の組み合わせで、商品やサービスを誰に向けて売り出していくのかを決定する際に用いられる手法です。セグメンテーションとは市場を細分化して小さなグループを作る事を意味し、例えば性別・年齢・居住地・世帯年収などに加え、ライフスタイルやパーソナリティなどの変数が用いられます。
次に、どこを狙うかを決定するのがターゲティングです。例えばアンチエイジングの高級化粧品のターゲティングであれば「40−50代主婦、世帯年収は700万円以上、コスメに興味があり月8,000円以上消費している人」など具体的に設定されるでしょう。
ポジショニングは商品の立ち位置を決めることです。『お肌に優しいアンチエイジング化粧品』ではポジショニングとは言えません。『世界初○○から作られた』『唯一の』などが立ち位置を明確にする必要があります。
4P分析
製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)のフローを分解したもので、マーケティング施策を決定する際に用いられる手法です。Productは他社と比較した際の強みや差別性について着目しており、Priceではいくらで販売するのか、他社と比べて競争力はあるのか、利益は出るかなどを分析します。
また、Placeは販売チャネルを決定するために消費者が普段どこで購入するのかということに焦点をあっており、Promotionはターゲットに対して確実に届く媒体や手法は何か、どのくらい費用をかけるのかなどを分析することができます。
マーケティング分析の簡単なソフトは?
エクセル
収集したデータをまとめる際にSUMIF(条件IF付きの合計値SUMが簡単に出せる数式)、VLOOKUP(2枚のスプレッドシートの情報をまとめる数式※各シートで共通値が必須)、LEFT/MID/RIGHT(セル内の文字列の左/中央/右から選択した数だけ抽出できる数式)など使えると作業効率UPにつながります。複数の質問項目の調査結果をまとめる場合はピボットテーブルが役立ちます。
RESAS
マーケターにとって、エリア分析や商圏分析は欠かせません。エリアの消費特性や生活習慣の違いによって商品の販売動向も変わります。その際に便利なのがRESASです。人口動態や昼夜の人の流れに加え、将来的に人口が増えるエリア・減るエリアなど集計することが可能です。
例えば高齢者を対象としたサービスを提供している場合、都心か郊外によってターゲットのボリュームも違いますし、将来の人口動態も予測してマーケティング戦略を立てる必要があります。
マーケティング分析で成功した事例は?
ここで実際にマーケティング分析を用いて成功した事例をいくつかご紹介します。
外回り営業の会社員をターゲットとした『レッツノート』
ビジネス用のノートPCとしてトップシェアを誇るパナソニック社レッツノートですが、成功以前の2006年は撤退さえ検討していました。1990年代後半、PCのプライベート使用が増え、競合PCは音楽・写真などの機能を搭載しシェア拡大を果たしました。
苦戦を強いられたレッツノートですが、改めて市場のセグメンテーションを行い『外回り営業』にターゲットを絞り、「軽さ・長時間バッテリー・耐久性」など一般消費者向けの競合PCとは全く異なるコンセプトで売り出しました。単に『法人向けPC』ではなく『法人向け、かつ外回り営業』に特化したことから差別化に成功した事例です。
子ども用写真館に特化して成功『スタジオアリス』
スタジオアリスと言えば七五三や入園入学写真で有名な子供向け写真館です。元々は写真現像店を運営していましたが、デジタル化に伴い市場は縮小。打開策が求められる中、小さな子供を持つ親や祖父母にターゲットを絞り「子どものための写真館」としてリポジショニングしました。
衣装レンタルサービスや、おもちゃや店内装飾など子供が喜ぶ工夫に加え、祖父母も一緒に来店しやすい大型モール中心に出店するなどセグメンテーション、ターゲティングだけでなく4P戦略も成功している事例です。
まとめ
今回の記事ではマーケティング分析をご紹介いたしました。日々変化する消費者のトレンドを素早くつかんで戦略に反映するには、マーケティング分析は欠かせません。新たなニーズやインサイト発見のために、今回の手法や事例を参考にマーケティング分析を改めて行ってみて下さい。