マーケティング
公開日: 2019.06.28 / 最終更新日: 2024.06.14

【メニュー別・業態別に解説】飲食店の原価率は?計算方法やコストダウンのコツも紹介

飲食店の原価率を適正に計算すれば、お店の利益を確保しつつ、顧客満足度や集客力を高めることができます。今回は、飲食店の原価率の基礎知識や計算方法、業態別の原価率の目安、飲食店の原価率を抑えるコツなどを紹介します。

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飲食店の原価率とは

はじめに、飲食店の原価率について簡単に紹介します。

「原材料費の割合」を指す

飲食店の原価率とは、「売上に対する原材料費の割合」を指します。原材料費は、メニューで使う食材や飲料類の「仕入れ値」のことです。

【原価率の例】
・原材料費300円の商品を1,000円で売った場合、原価率は30%
・原材料費500円の商品を1,000円で売った場合、原価率は50%

お店が繁盛して売上が増加しても、原価率が高いメニューばかりでは十分な利益が見込めないため、各メニューの原価率をきちんと計算し、全体として採算がとれるように調整することが重要です。

原価率の計算方法

原価率は、以下の計算式で算出できます。

・原材料費(円)÷販売金額(円)×100=原価率(%)

例えば、1杯あたり200円の原材料費でラーメンを作り、650円で販売するとして原価率を計算してみましょう。この場合、(60+80+10+10+10+30)÷650×100=約30.8%の原価率になります。

【ラーメンの具材の内訳】
・麺60円
・スープ80円
・ネギ10円
・海苔10円
・煮卵10円
・焼豚30円

FLコストが重要とされる理由

FLコストとは、原材料費(Food)と人件費(Labor)を合算したコストのことです。飲食店を経営する場合、原材料費だけでなく、人件費やその他経費も発生するため、黒字化するためにはFLコストを意識することが重要です。
売上に対するFLコストの割合は「FL比率」と呼ばれ、50~60%が理想とされています。

・(原材料費+人件費)÷売上=FL比率

飲食店の収益構造として、原材料費と人件費をそれぞれ売上の30%に抑えると、FL比率が60%になり、その他経費(家賃・水道光熱費・消耗品費など)を30%に抑えれば、10%の利益を得られるという計算になります。
飲食店の利益率の相場は10~15%が目安であるため、月20~30万円の利益を得るためには、月200万円の売上が必要ということになります。

飲食店の売上をアップさせる方法については、以下のページでまとめています。

関連記事:飲食店の売上をアップするための方法とは?売上の計算方法も解説!

飲食店の理想的な原価率


飲食店の平均的な原価率はどのくらいでしょうか?

原価率は30%が目安

飲食店の原価率は、20~35%が理想とされています。ただし、すべてのメニューを30%前後にすることは難しいため、メニュー全体の平均で原価率30%ほどになるように調整しましょう。
なお、高級食材を使用したメニューや賞味期限が短いものは原価率が比較的高く、サイドメニューやドリンクなどは原価率が低い傾向にあります。

原価率が高いメニューの例 原価率が低いメニューの例
刺身の盛り合わせ 冷やっこ
ハンバーガー フライドポテト
ステーキ ソフトドリンク

原価率が高いメニューだけでは利益が見込めず、原価率が低いメニューだけでは集客力が下がってしまうという点がポイントです。
そのため、メニューごとの原価率を調整したり、ドリンクとのセット販売で売上を確保しつつ、原価率の高いメニュー(顧客側から見たらコスパの良い商品)で集客することで、利益と顧客満足度のバランスをとりましょう。

飲食店の集客やマーケティング手法については、以下のページを参考にしてください。

関連記事:飲食店のマーケティング手法とは?集客効果を最大化する方法を解説

【業態別】飲食店の原価率の目安

ここでは、業態別の飲食店の原価率について、それぞれの特徴や目安を紹介します。

カフェ

カフェ・喫茶店の原価率は、24~35%ほどが目安です。メニューによって原価率が大きく異なるため、フード・ドリンクの比率を調整することがポイントになります。一般的に、メニューの構成はフード15%・ドリンク85%程度となり、ドリンク比率が高いほど利益を出しやすくなります。

コーヒーの原価率は10%程度なので利益を出しやすいと思われがちですが、コーヒー1杯で数時間滞在する人も少なくないため、お店の回転率が悪くなってしまう(原価率が低いからといって利益を得やすいとは限らない)という点に注意が必要です。

居酒屋

居酒屋の原価率は、28〜35%ほどが目安ですが、生ビールの原価率は30~40%、刺身は50%など、主力商品の原価率が高い傾向にあります。
そのため、ドリンクメニュー(オリジナルサワーの種類など)を充実させたり、メニュー表を見やすいデザインにしたりなど、原価率の低いメニューを注文してもらうための工夫が必要です。

居酒屋では食事とお酒を提供するだけでなく、アルコールの入ったお客さんへの対応もこなす必要があるため、人件費の比率は高くなる傾向にあります。

お酒の種類 原価率の目安
ウーロンハイ 8%
ハイボール、サワー 10%
生ビール 30~40%
焼酎、日本酒 25~50%
ワイン 30~50%

ラーメン店

ラーメン店の原価率は、30%ほどが目安です。食材へのこだわりによって原価率に差が出やすいことが特徴で、とくに大きく影響するのがスープです。
スープに使う食材の質や量によっては、ラーメン1杯あたりの原価率が高くなる(利益を出しづらい)ケースもあるので注意しましょう。一般的に、醤油→豚骨→味噌の順で原価率が高いとされており、麺や具材とのバランスを意識しながら原価率を調整する必要があります。

ラーメン店はカウンター席のみの小さな店舗でも営業できるため個人店として開業しやすく、賃貸費用や人件費も抑えやすい傾向にあります。

レストラン

フレンチ・イタリアン・和食などの業態にも左右されますが、レストランの原価率は30%ほどが目安です。ゆっくりと時間をかけて食事をする客層が多く、キッチンとフロアにそれぞれ従業員が必要となるため、人件費の比率が高い店が多い傾向にあります。
レストランにおけるフード・ドリンクの比率は「フード80%・ドリンク20%」程度とされており、他の業態よりメニューの差別化やラインアップの豊富さが求められることが特徴です。

飲食店のメニューの作り方については、以下のページで詳しく紹介しています。

関連記事:飲食店のメニュー作成のポイントは?価格やメニュー表の作成方法も

デリバリー専門店

デリバリー専門店では、原価率20~25%ほどが目安です。デリバリーサービス会社に支払う手数料が35%程度かかるため、店舗の販売価格より高く設定したり、メニューの品数を増やして客単価を上げたりといった工夫をし、FL比率を45%程度に抑える必要があります。通常の飲食店と同様にFL比率を60%にしてしまうと、デリバリー手数料(あるいは自社での配達コスト)が加算されて赤字になるので注意が必要です。
なお、複数のお店で厨房施設を使用する「シェアキッチン」などのようなサービスを使えば、家賃や水道光熱費を抑えられます。

飲食店の原価率を抑えるコツ

続いて、飲食店の原価率を抑えるコツをいくつか紹介します。

廃棄ロスを減らす

飲食店の原価率を抑えるためには、仕入れた食材の廃棄ロスを減らすことが重要です。曜日や天気、過去の販売実績などから売上を予測し、無駄な廃棄が出ないように仕込みの量を調整しましょう。
また、古い食材から使用するFIFO(ファーストインファーストアウト/先入れ先出し)を意識すれば、賞味期限切れによる廃棄ロスを減らせます。
そのほか、肉や野菜、魚などを冷凍食品に代替するだけでも、廃棄ロス率を下げることができます。

仕入先・仕入方法を見直す

飲食店の原価率を抑えるために、​仕入先・​仕入方法を​見直すことも有効です。例えば、​農家から​直接仕入れる(仲介業者を入れない)と​仕入価格を​抑えやすくなり、同じ​業者から​​仕入れる​ことで​値下げ​交渉も行いやすくなります。
また、​天候不良などによって​大きさや​​形が​規格外となり、​市場に​流通しない「規格外​野菜」を活用する方法もあります。比較的安い​価格で​仕入れられるため、メニューの​味に​影響が​ない​場合は​規格外野菜への代替を検討しても良いでしょう。

店内業務を効率化する

社員やアルバイトを教育し、店内業務を効率化することで、オペレーションミスや誤発注によって生じる無駄なコストを減らす方法もあります。
また、使う食材や​調味料の​量がわかりづらいメニューについては、レシピ表を作成することも重要です。目分量ではなく、肉は200g・塩は小さじ1など、分量をきちんと決めておくことによって、「隣のテーブルより料理の量が少ない」「来店のたびに味が違う」などといったクレームを防ぐことにもつながります。

飲食店の開業・経営のサポートを外注する方法もあります。飲食店コンサルタントに依頼するメリット・デメリットや費用相場については、以下のページで詳しく紹介しています。

関連記事:飲食店コンサルタントとは?料金や依頼できる内容、メリットなどを詳しく解説

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・飲食店のコンサル(マーケティング戦略の立案、経営計画書の作成など):要相談
・飲食店のメディア運営代行(記事の執筆や投稿作業など):時給1,000~2,000円
・SNSの運用代行(記事や写真の毎日投稿、コメントへの返信など):月額3万円~
・ECサイトの運営代行(ECサイトの構築や更新、データ分析など):5~20万円

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クラウドソーシングTimes編集部
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