CAD設計を依頼すると、図面の作成やトレース、データ修正などを効率的に行えます。今回は、CAD設計の概要や外注する際に依頼できること、CAD設計を依頼するメリット・デメリット、CAD設計の費用相場などを紹介します。
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CAD設計とは
CAD(Computer Aided Design)は、パソコン上で設計・製図を行うためのソフトウェアです。従来は手描きが主流でしたが、CADが開発されたことで機械設計・部品設計・建築設計などの図面作成を効率的に行えるようになりました。業種によってCADの活用方法は多岐に渡り、CAD設計で用いる図面にもさまざまな種類があります。
【図面の種類の例】
・平面図
・立面図
・断面図
・組立図
・展開図
CAD設計で依頼できること
CAD設計を外注する場合、以下のような作業を依頼できます。
図面の作成
CADの主な用途は、図面の作成です。図面の規格が統一されるので作成したデータを管理しやすく、建物や構造物、医療機器といったさまざまな業種で使う図面を作成してもらえます。また、構造物などの性能・特性の解析や、動作のシミュレーションを実行でき、その結果を数値・グラフで表示できるため、解析結果などのレポート作成も依頼可能です。
図面のトレース
図面のトレースとは、手描きの設計図や、PDFで作成した図面などをデジタル化する作業のことです。図面の新規作成だけでなく、「古い図面をデジタル化して保存したい、再利用したい」といった目的で、CADトレースを依頼するケースも少なくありません。紙の図面からデジタル化する際の歪みの修正や、平面図を3次元化する作業なども依頼できます。
図面データの修正
設計図・施工図など、作成中の図面データの修正も依頼可能です。作成中のCADデータをもとに微調整や修正を繰り返し、設計ミスが起こらないように正確な図面を作成してもらえます。なお、CADで作成した図面データの紛失や破損を防ぐために、クラウド上にデータを保存・管理するサービスを提供している場合もあります。
CAD設計を依頼するメリット
CAD設計を依頼すると、以下のようなメリットを享受できます。
高品質な図面を作成できる
CAD設計を依頼するメリットは、高品質な図面を作成できることです。CAD設計の専門知識やスキルを持つ人材に依頼すれば、自社で作成するより正確で見やすい図面を作成してもらえます。また、CAD設計に関する要望や悩みをヒアリングしたうえで図面を作成してもらえるため、実際の施工の段階で作業がしやすくなる点も大きなメリットです。
コア業務に集中できる
CAD設計を依頼すると、図面作成などにかかる手間や時間を削減できることがメリットです。CADに使っていたリソースを有効活用し、自社のコア業務(製品の営業・マーケティングなど)に使うことができます。とくに、CADトレースなどの専門性の高い作業は、習得するまでに時間と労力がかかるため、外注化したほうが生産性の向上が期待できます。
人件費をカットできる
CAD設計を外注すると、固定費(自社でCAD設計を行う場合にかかる、設備費・人件費などのコスト)を削減できることがメリットです。また、CADを利用する際はライセンス料・更新料などが発生しますが、外注すればこれらのコストをかけずにCAD設計を行うことができます。
CAD設計を依頼するデメリット
CAD設計を外注化するとさまざまなメリットがありますが、以下のようなデメリットもあります。
CAD設計のノウハウが蓄積されない
CAD設計を外注する場合、CADに関する知識やノウハウが自社に蓄積されないことがデメリットです。外部に丸投げしてしまうと、社内での製図や修正が難しくなり、結果的に外注先に依存する恐れがあります。長期的に依頼する際は、外注先に運用報告などをしてもらい、簡易的な修正などは自社で対応できるようにCAD設計のノウハウを共有しましょう。
外注コストが高額になるケースもある
CAD設計の費用は、依頼する内容や期間によっては高額になることがデメリットです。例えば、複雑な構造の図面や、3DCADを利用して複数枚の図面を作成してもらう場合などは、製図にかかる工数が増えることから料金が高い傾向にあります。まずは外注先と打ち合わせを行い、詳細な見積もりを確認したうえで費用対効果を検討しましょう。
CAD設計の費用相場
ここでは、CAD設計を外注する際にかかる費用相場をそれぞれ紹介します。
図面作成を依頼する場合
CAD設計は、業種や依頼内容によって料金が大きく異なり、明確な相場はありません。例えば、戸建住宅の建築設計を一から依頼する場合、建築費の数%を報酬として支払うケースが一般的です。業務量によって料金が変動するため、図面の種類ごとに1枚あたりの料金を設定している場合もあります。
建築設計 | 費用相場 |
戸建住宅の図面作成 | 建築費の10%程度 |
展開図、建具図の作成 | 1枚あたり7,000円~ |
平面詳細図の作成 | 1枚あたり1~2万円 |
図面トレースを依頼する場合
図面トレースの場合、図面のサイズやCAD設計士のスキルなどによって料金が異なります。A1~A3版ごとにおおよその相場が決まっていますが、CAD設計士のスキルや業務量に応じて時間給で請求されるケースもあります。
図面のサイズ | 図面1枚あたりの費用相場 |
A1 | 1万円~1万5,000円程度 |
A2 | 1万円前後 |
A3 | 5,000円~1万円程度 |
時間単位・図面単位で算出する場合
CAD設計の費用は、時間単位・図面単位で算出することもあります。例えば、機械設計の場合、以下のような時間単位で料金を設定しているケースが一般的です。
機械設計 | 費用相場 |
一般的なCAD設計 | 時給2,500円~ |
2DのCAD設計 | 時給3,000円前後 |
3DのCAD設計 | 時給3,500円前後 |
部品設計の場合、依頼内容によって費用の算出方法が異なります。
部品設計 | 費用相場 |
部品設計のみ | 図面1枚あたり5,000円程度 |
組立図・計画図の作成 | A1サイズで4万円程度 |
金型設計 | 費用全体の10%程度 |
そのほか、近年では3DCADを用いた「3Dモデリング」を外注するケースもあります。VRゲームや3Dプリンター用の出力データ作成、VTuberの3Dモデル制作などを依頼したい場合は、以下のページを参照してください。
関連記事:3Dモデリング費用の相場
CAD設計の依頼時のポイント・注意点
CAD設計を依頼する際は、以下のようなポイントを押さえておきましょう。
依頼内容を明確にする
CAD設計を外注する場合、まずは依頼内容を明確にし、外注先との認識のズレがないかを確認します。CADで図面を作成する目的や用途、解決したい課題などをヒアリングの段階で細かく伝えることが重要です。
依頼内容がきちんと伝わっていないと、想定とは異なる図面が納品されるといったトラブルにつながります。図面の手直しや修正があると、追加料金や納期の遅延が生じるケースも少なくないので、事前に依頼内容を整理しておきましょう。
相見積もりで比較する
CAD設計の外注先を選ぶ際は、複数社に見積書を請求し、サービス内容や料金を比較しましょう。1つの外注先のみに依頼すると、図面作成の相場がわからず、一般的な相場より高い金額で発注してしまう可能性があります。
また、料金の安さ・納期の短さだけで選ぶと、オプション料金などで結果的に割高になったり、クオリティが不十分で後悔する場合もあります。複数社のサービス内容や料金を比較し、費用対効果の高い外注先を選ぶようにしましょう。
納品ルールを決めておく
CAD設計を依頼する場合、納品ルールを決めておくことも重要です。外注先によって納品方法が異なるため、図面の完成イメージや納品フォーマットをあらかじめ確認し、希望するデータ形式や出力サイズ、部数などを具体的に伝えておきましょう。納品ルールを共有すれば、納品後の軽微な修正などが減り、関連作業を円滑に進めることができます。
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関連記事:内装デザインの相場金額を紹介
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関連記事:専門性の高い人材も見つかる。電子回路の「アートワーク設計」の領域でクラウドソーシングを活用:株式会社ソリトンウェーブ