マーケティング
公開日: 2023.06.26 / 最終更新日: 2023.12.28

STP分析におけるターゲティングの正しい理解とマーケティングへのリアルな活用方法

戦略的に市場開拓を進めるにはSTP分析が欠かせません。中でも、狙うべき市場を決める「ターゲティング」はマーケティング戦略の中核とも言えるでしょう。本記事では、ターゲティングについて正しい理解を深め、STP分析を実際に活用するための方法を解説します。

マーケティングにおける「ターゲティング」の定義

はじめに、マーケティングにおいて「ターゲティング」がどういった役割を果たしているのか、その定義について解説します。

STP分析の基盤となる

まずSTP分析とは、

1.セグメンテーション(市場の細分化)

2.ターゲティング(ターゲットとする市場の決定)

3.ポジショニング(自社の立ち位置の確立)

のことをいい、1から3の順で進めていくマーケティング手法です。

1.セグメンテーションで市場の全体像を把握して細分化し、2.ターゲティングで細分化した市場から自社のターゲットとする市場を決定します。最後の3.ポジショニングで競合他社との位置関係を把握した上で、自社の立ち位置を確立していくという流れで進めていきます。

ターゲティングは2の「ターゲットとする市場の決定」という、STP分析の基盤となる部分を担っています。

市場における顧客層の選定

上述のように市場に目を向けたターゲティングだけでなく、「セグメントした市場の中でどのような顧客層にアプローチするか」を決めるターゲティングも重要です。競合優位性を踏まえてターゲットとする顧客層を決めることで、効率的なマーケティングにつながります。

市場優位性を獲得するための主な戦略

ターゲティングは、優位性のある市場を探し、勝負をする場所を決めるために行います。競合他社に対して優位に立てる市場探しは、新規事業の成功に欠かせません。

ここでは、ターゲティングの主な戦略についてみていきましょう。

単一セグメントへの一極集中戦略

一つの市場セグメントに絞り、事業を集中して行う方法です。市場を絞って自社資源を集中投入することからリスクも生じますが、限りある経営資源で大企業と競う小規模企業などにとって有効な手段です。

セグメントすべてを対象にする市場のフルカバレッジ戦略

全市場に自社事業を展開していくのがフルカバレッジ戦略です。大手企業などがよく使うターゲティング方法で、あらゆるセグメントで個別ブランドを立ち上げ事業を展開していくことを指します。

自社を参入市場に適応させる専門化戦略

専門化戦略には以下の2種類があります。

①1つの製品やサービスを複数のセグメントにわたって販売する戦略

②1つの専門的な市場に対して複数の商品やサービスを販売する戦略

①は製品特化型の戦略です。例えば、ストローを飲食店・コンビニ・スーパーなどへ販売する事業のようなイメージです。ただ、ここ数年でプラスチックストローから紙ストローへと変更する企業が増えているように、代替技術が出てきた際に大きな打撃を受ける可能性があります。

②は、特定の顧客群に特化した製品やサービスを販売する戦略です。顧客のニーズに応えることで信頼関係を築くことができ、安定した売上へとつなげることが可能です。

ターゲティング戦略は段階的なセグメントの拡大が定石

上述のように、経営資源に限りのある事業初期は細かなセグメントに集中投下する戦略が効果的です。そのセグメントでポジションを確立し、安定的な売上を確保できるようになったら新たなセグメントへと段階的に市場を拡大していくのがターゲティング戦略の定石と言えるでしょう。

ターゲティング精度を高めるフレームワーク「6R」

効果的なターゲティングを展開するためフレームワークを、それぞれの頭文字である「R」をとって6Rといいます。以下、1つずつ紹介します。

Realistic Scale:展開する事業と市場規模における収益性の担保

Realistic Scale(市場規模)は、自社が展開する事業の市場規模を示す指標です。市場が大きければそれだけ利益が増える可能性が高まりますが、大きな市場は他社にとっても旨味がある分、競合が増えるというデメリットもついて回ります。反対にニッチ市場を狙ってターゲットを絞ることで、小規模な市場でも高収益を上げることもできます。

やみくもに大きな市場を狙うのではなく、展開する事業の収益性を考えながら市場規模を戦略的にターゲティングすることが肝要です。

Rank/Ripple Effect:顧客から見た事業への関心度の高さ

Rank(優先度)/Ripple Effect(波及効果)は、事業のターゲット(顧客)から見た「事業に対する関心(優先度)の高さ」を計る指標です。関心度の高い商品やサービスであれば、SNSなどによる波及効果を利用して多くの顧客へ一気にアプローチすることが可能になります。

Rival:事業におけるシェア獲得を競い合う競合の存在

Rival(競合の状況)は、競合するライバル企業の取扱商品・サービス、シェア率などを把握するために用います。すでに競合他社が多い場合、参入への道はかなり厳しくなりますが、自社独自の強みを持っていれば勝機があるでしょう。

STP分析をする際にもRivalの指標を用いて比較することが重要となります。

Rate of Growth:社会・経済情勢の変化に伴う市場の成長性

Rate of Growth(成長性)は市場の成長性を示す指標で、市場の今後の変化を予測しながら、成長が見込めるのか否かを判断する際に利用します。
ここでもやはり、市場の大小はあまり関係なく、市場規模が大きくても成長が見込めなかったり、逆に現状の市場は小さいものの今後成長する見込みが高かったりとさまざまです。市場分析をする際には、必ずRate of growth(成長性)も検討項目として入れるようにしましょう。

Reach:事業の展開・マーケティングの実施における実現性

Reach(到達可能性)とは、ターゲットに対して的確なアプローチが可能かどうか判断する指標です。例えば、「学生の多いエリアとファミリー層が多いエリアのどちらで子供用商材の商品を販売するのが適切か」といったことを判断するために用いられます。

Response:マーケティングデータを活用した定量的な測定

Response(測定可能性)は、目標の達成率を測定するための指標です。目標設定から達成率までを追うことで、実施したマーケティング施策の費用対効果を把握できることから、コスト調整にも役立ちます。また、明確な目標設定は従業員のモチベーションアップにも寄与するでしょう。

ターゲティングの実行・改善プロセスのゴールは「PMF」

PMF (Product Market Fit, プロダクトマーケットフィット)とは、プロダクト(商品やサービス)が適切にマーケットニーズに合っている状態を指します。

STP分析においてターゲティングを行い、社会・経済情勢に合わせて改善を繰り返すことで、事業の成長性を高め、PMFを目指しましょう。

売上へのコミットには知見豊富な外部人材の登用を

ターゲティングは、自社の限りあるコストや人材、時間の中で、ビジネスに寄与する事業を育てるために欠かせません。ただ、会議でいくら議論しても実際に事業を動かしていかなければ机上の空論となってしまいます。

戦略+実行の両輪に改善をプラスし、事業を大きくするためには業界に対する深い知見を有する人材が欠かせません。自社内にそういった存在が見当たらない場合、外部人材の登用も検討してみてください。

クラウドソーシングTimes編集部
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