インターンシップとは、企業の風土や業務内容について、入社志望者に事前理解を深めてもらうための制度です。学生が企業に訪問して(あるいはオンライン上で)実際に就業体験を行う形態をとることが多く、約80%の企業がインターンを実施しているというデータもあります。
さらに、インターンの一種である「採用直結型インターン(※)」が2019年に一度禁止され、2025年卒(25卒)の学生から再び解禁された経緯などもあり、インターン採用への注目度が高まっています。
※採用を目的としたインターン、または研修の終了を待たずに採用を決めるインターンのこと
今回は、採用直結型インターンが再解禁された背景、インターン採用の種類や内容、インターン採用における募集方法などを紹介します。
目次
採用直結型インターンの禁止→解禁の背景
採用直結型インターンとは、採用を目的とした(実施期間中に採用が決まる可能性がある)インターンシップのことです。早期選考によって優秀な学生を確保するために行われるものですが、ある理由から一時的に禁止されていました。
まずは、政府による採用直結型インターンの禁止要請→解禁の背景について紹介します。
採用直結型インターンが禁止された理由
2018年9月3日、当時の経団連会長・中西宏明氏が新卒学生の採用について言及したことが発端とされています。氏は、「経団連が採用日程・採用ルールを決定するのではなく、各企業が自由に採用活動を行うべき」として日本の社会・企業に多様性が不足していることを指摘し、2020年卒の学生を最後に従来の採用日程・ルールを廃止すると発表しました。
この一件を受け、21年卒の学生からは採用直結型インターンの禁止を要請する方針が政府によって固められました。採用直結型インターンを禁止することで、「新卒一括採用」が当たり前とされる現状について再検討し、就職活動の長期化・早期化に歯止めをかけることが政府側の狙いとされています。
ただし、法律による禁止ではなく、あくまで「企業への協力要請」であったため、徹底には至らなかった一面もあるとされました。
採用直結型インターン禁止による影響
政府の禁止要請に対して、採用直結型インターンのメリットが大きいと感じる学生からは反対の声が多く挙がりました。インターンに関する学生のニーズを考慮しなくなり、かえって柔軟性に乏しい企業が増えたのではという見方もあります。また、そもそも「インターン」の定義が明確ではなかったため、どこまでが禁止要請の範囲なのか曖昧だという点についても問題視されました。
企業・学生をマッチングするインターンシップに制約が課されたことで採用の難航にもつながり、採用直結型インターンは禁止から数年で解禁される運びとなりました。
採用直結型インターンが解禁された背景
政府による禁止要請には法的な拘束力がなかったことから、採用直結型インターンを継続した企業も多く、就職活動の長期化・早期化といった課題の根本的な解決にはつながりませんでした。そのため、「一定の条件を満たす場合、インターンシップで収集した学生の情報を採用選考に利用してもよい」という方針へ変更しようという動きが生じます。
この方針変更には、企業・学生の混乱を避けるために明確なガイドラインを定めたうえで採用直結型インターンシップを解禁し、経団連主導でのコントロールを可能にする狙いがあるとされています。2025年卒業の学生から適用されることとなり、今後のインターン制度のルールがどのように変更・改善されるかについて注目が集まっています。
インターン採用の内容と種類
続いて、インターン採用の主な種類や内容をそれぞれ紹介します。
就業型インターンシップ
「就業型インターンシップ」とは、企業で一定期間働くインターンシップのことで、長期インターンとも呼ばれます。実際に働くことを体験しながら、企業や業界の実践的なビジネススキルを修得することができます。企業にとっても学生にとっても、入社前後のギャップを緩和できることがメリットです。
プロジェクト型インターンシップ
「プロジェクト型インターンシップ」は、企業から与えられたミッションをチーム単位で取り組むなど、企業のプロジェクトに参加するインターンシップです。短期インターンとも呼ばれます。
特に大手企業でこのインターンシップを採用することが多く、商品開発や新規事業開発、ビジネスモデルの構築などの課題を5日~2週間程度で解決していくスタイルです。学生にとってはより具体的な仕事のイメージをつかみやすく、企業にとっても学生の取り組む姿勢や発言などを把握できることがメリットです。
会社説明型インターンシップ
「会社説明型インターンシップ」は、会社説明会と同じようなセミナー型のインターンです。多くの企業が採用し、ほとんどが1日で終わるため、1dayインターンとも呼ばれます。。企業側のメリットは、少人数のスタッフで一度にたくさんの学生に自社をアピールできる点です。学生側も、気軽に参加しながら企業のことを深く知ることができるのがメリットです。
ただし、会社説明会といいつつも選考のための面接を兼ねていることが増えており、これが採用直結のインターンになりかねないとして、経団連や政府が問題意識を持っています。
インターンシップの報酬の決まり方
インターンシップには、会社見学・セミナー参加のような1日で終わるものもあれば、就業体験を伴う長期間のものまでさまざまです。学生に支払われる報酬は、就業内容や契約条件、企業の取り組み度合いによって決まりますが、短期インターンなどは報酬なしというケースが多い傾向にあります。
インターン参加者が「労働者」とみなされる場合は最低賃金法が適用されますが、労働者とはその企業の生産活動に貢献しているかどうかで判断されます。たとえば、インターン生が作成した資料を社員が業務に使用する場合は、労働者として認められます。一方で、実業務と関係のない就業体験に留まる場合は労働者に該当しません。インターン報酬の有無や勤務時間などについては募集要項にあらかじめ記載しておくケースが一般的です。
インターン採用における募集方法
インターンを採用する場合の代表的な募集方法には、以下のようなものがあります。
外部サービスへの広告掲載
求人サイトなどの外部のサービスを利用し、広告を出すことで募集をかけるパターンです。掲載するだけで有料となる広告と、掲載自体は無料であるものの、採用が決定した場合に料金が発生する成果報酬型の2種類があります。成果報酬型の場合、採用人数が増えると採用単価が割高になる可能性もあるので注意しましょう。
縁故採用
インターン生募集のもうひとつの方法に縁故採用があります。社員や知り合いを通じて紹介してもらう手法で、コストを最低限に抑えることが可能です。ある程度の信用の裏付けがある人材を採用できて、特別な準備もなく気軽に募集ができる反面、必ずしも採用人材が見つかるわけではないため時間がかかる可能性もあります。
インターンシップの募集方法や注意点などについては、以下のページでも紹介しています。
関連記事:インターンシップの募集方法とは?短期・長期の違いや注意点を解説
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まとめ
政府は、採用直結型インターンを解禁し、「明確なガイドラインを設けたうえで許容する」という方針を2022年4月に固めました。その後、三省(文部科学省・厚生労働省・経済産業省)が合意し、新たなルールが2025年卒の学生から適用されます。今後のインターン制度の動向を注視しつつ、人材確保の手段としてクラウドソーシングサービスを活用するという選択肢についてもあわせて検討しましょう。