商談時や会食時などのビジネスシーンにおいて通訳を依頼したいときに、悩む要素のひとつがコスト面です。通訳会社を利用すると、依頼内容によって費用が異なるだけでなく、通訳者のクラス(ランク)や通訳する言語によって料金が分かれていることもあります。
そこで今回は、通訳を依頼したい方に向けて、通訳の種類や料金相場、通訳費以外でかかるコストなどを詳しく紹介します。
目次
通訳の種類

はじめに、通訳の種類について紹介します。
| 通訳の種類 | メリット | デメリット |
| 逐次通訳 | 正確に通訳できる | 時間がかかる |
| 同時通訳 | 大人数の通訳も可能 | 機材費がかかる |
| ウィスパリング通訳 | リアルタイムで通訳できる | 少人数しか対応できない |
逐次通訳
逐次通訳(ちくじつうやく)は、話し手・通訳者が交互に話す形式です。話し手の発言を短いセンテンスで区切り、区切った分の会話内容を通訳する、という流れを繰り返します。
話すのは常に片方だけになる(話し手・通訳者のどちらかになる)ため、同時通訳より時間はかかりますが、相手の発言の意図などを確認しながらコミュニケーションをとれるため、海外視察や商談、送迎、会食などのシーンに適しています。
同時通訳
同時通訳とは、通訳者がイヤホンなどで話し手の声を聞きとり、その内容をもとに2~3秒遅れで通訳する形式です。通訳された音声は、赤外線受信機(※1)を通じて対象者に伝えられます。参加人数の多い国際会議や、長時間にわたる講演会などで採用されることが多く、会場の規模や参加人数によっては通訳ブース(※2)を設置することもあります。
(※1)赤外線送信機とは、通訳者の声を届けるための機器のこと。各人に配布されるレシーバー(受信機)のイヤホンから、通訳された音声を聞くことができます。
(※2)通訳ブースとは、通訳者専用のスペースのこと。大規模な会議などでは、発言者の音声・通訳者の音声が混ざらないように、別室で通訳するケースが一般的です。
ウィスパリング通訳
ウィスパリング通訳とは、通訳を必要としている人物のみに行う同時通訳のことです。通訳者が聞き手の横や後方に控え、話し手の発言を聞きながらささやくように通訳します。
海外の有名人などが来日したときによく見られる通訳形式で、マンツーマンでの通訳にも適しています。レシーバーやイヤホンなどの機材が不要で、ほぼリアルタイムで通訳できるため、通訳を必要とする参加者が少ないシーン(商談・社内会議など)で採用されています。
通訳の相場【クラス別】

通訳を依頼する際、一般的にはスキルや経験が豊富な通訳者ほど費用が高くなる傾向にあります。以下で挙げるような4つのクラス分けがなされ、クラス別によるおおよその相場は決まっています。
| クラス | 通訳料金(1日あたり) |
| Sクラス | 8~12万円 |
| Aクラス | 5~8万円 |
| Bクラス | 3~6万円 |
| Cクラス | 2~5万円 |
Sクラス
国際会議や医療分野など、専門性の高いスキルを有している通訳者はSクラスに分類されます。このほかにも、金融業界やITなどの専門分野に精通していて、通訳としての経験年数が15年以上あるような方も属していることがあります。スキルに合わせて費用も一番高く設定され、1日あたりの相場は8~12万円です。
Aクラス
次はAクラスとなり、ここにはタイムラグが少なく通訳できる同時通訳や、数文単位で通訳を行う逐次通訳などのスキルを持っている方が含まれます。実務経験が10年以上ある通訳者が対象で、Sクラスまではいかないもののさまざまなシーンで的確に対応できる通訳者が揃います。1日あたりの相場は5~8万円です。
Bクラス
Bクラスには、実務経験が5年以上、かつ、会議や海外における商談などのビジネスシーンや、会食や観光アテンドも対応できる通訳者が該当します。専門性の低い同時通訳、インタビューや記者会見などの逐次通訳も可能です。1日あたりの相場は3~6万円です。
Cクラス
Cクラスには、実務経験が3年以上、かつ、日常会話レベルの逐次通訳ができる通訳者が該当します。セミナーやイベント、社内会議や会食などでの通訳が主なシーンです。1日あたりの相場は2~5万円となります。
通訳の相場【シーン別】

上で挙げたような通訳者のスキルや実務経験年数が相場の目安になることもあれば、依頼するシーン別で相場の目安が決まることもあります。主なシーンごとに相場をご紹介します。
| 通訳のシーン | 通訳料金(1日あたり) |
| 商談 | 7~9万円 |
| シンポジウム | 10万円前後 |
| 展示会 | 7~9万円 |
| 現地視察 | 3~6万円 |
| 会食 | 3万円前後 |
商談
逐次通訳と同時通訳のどちらかが必要な商談では、A~Bクラスの通訳者が選出されるケースが一般的です。半日あたりの相場は5~6万円程度、1日あたりでは約7~9万円ほどになります。
シンポジウム
研究発表会・討論会を指すシンポジウムは専門的な用語を必要とするため、平均的な相場は1日あたり10万円前後となることが多いです。通訳を依頼する側が主催者や発表者の場合は、上の相場にプラスして機材費がそれぞれ2~3万円発生します。
展示会
国際的な展示会の通訳は、半日で5~6万円、1日で7~9万円が相場です。一般的な会話のやりとりだけでなく実際に商談が行われることもあるため、通常は1日がかりでの依頼となりますが、もし数日間依頼するとなった場合、通訳料金の割引が適応されることもあります。
現地視察
現地視察では、逐次通訳や聞き手の後ろに付いて通訳を行うウィスパリング通訳のどちらかを選択します。専門的な知識が必要となることもあるため、平均的な相場は1日あたり5万円です。通訳会社により3~6万円と多少の幅があります。
会食
会食はビジネスの延長とはいえ食事をしながら談笑を交えるため、日常会話レベルの逐次通訳となることがほとんどで、Cクラスの通訳者が中心に対応します。1日あたり3万円が相場ですが、会食は半日がかりになることも多いため、半日料金(1日あたりの料金の60~70%)で契約交渉することも可能です。
通訳の相場【言語別】

言語によっても通訳の相場は異なります。複数の海外拠点を持つ企業や海外の取引先が多い場合、言語別による通訳の相場を知っておくと便利です。
| 言語 | 通訳料金(半日あたり) |
| 中国語 | 2~3万円 |
| 英語 | 3~5万円 |
| フランス語 | 3万5千円~8万円 |
| ポルトガル語 | 3~7万円 |
| スペイン語 | 3~6万円 |
中国語
中国語の通訳者の相場は半日で2~3万円、1日あたりで5万円です。時間で料金を区切っていたり、通訳方法によって料金を設定していたりする通訳会社もあります。どのシーンで何時間程度の通訳が必要になりそうかあらかじめ試算しておきましょう。
中国語の「翻訳」を依頼したい場合は、以下のページを参照してください。
関連記事:中国語翻訳をビジネスへ活用!依頼費用の相場や外注に必要な知識とは
英語
英語通訳の相場は3~5万円ですが、通訳方法によって若干の差があります。簡易通訳は2~3万円、逐次通訳は2万5千円~4万円、ウィスパリング通訳は4~5万5千円、同時通訳は6~8万円が目安です(※すべて半日の相場)。
動画用の英語翻訳や、音声ガイダンスを依頼することも可能です。英語ナレーションの相場や活用事例などについては、以下のページで詳しく紹介しています。
関連記事:英語ナレーションの相場はいくら?依頼の流れや注意点も詳しく解説
フランス語
フランス語通訳の相場は3万5千円~8万円です。通訳会社によってはクラス別やシーン別で料金設定されていることもあります。実績の豊富さやリーズナブルさなどそれぞれに強みがあるため、重要視するポイントを決めてから依頼することがポイントです。
フランス語の「翻訳」の難易度や料金相場については、以下のページでまとめています。
関連記事:フランス語翻訳の料金相場
スペイン語
スペイン語の通訳は3~6万円が相場です。スペイン語は話者数が多いため、比較的リーズナブルな価格で依頼でき、簡易通訳は2~3万円、逐次通訳は3~4万円、ウィスパリング通訳・同時通訳は4万5千円~6万円が目安です(※すべて半日の相場)。
スペイン語の「翻訳」を依頼する際のポイントや料金の決まり方などについては、以下のページで詳しく紹介しています。
関連記事:スペイン語翻訳の料金相場
ポルトガル語
ポルトガル語の通訳は3~7万円が全体的な相場となり、英語同様に通訳方法によって料金が異なるケースが多いです。簡易通訳は2万5千円~3万円、逐次通訳は3~4万3千円、ウィスパリング通訳は4万5千円~6万3千円、同時通訳は6万6千円~9万円が目安です(※すべて半日の相場)。
ポルトガル語の「翻訳」を依頼したい場合は、以下のページを参照してください。
関連記事:ポルトガル語翻訳の料金相場
通訳費以外に発生するコスト

通訳費用だけでなく、通訳の依頼には交通費・宿泊費・機材費などのコストが別途発生することもあります。
交通費
交通費とは通訳現場までの往復費用です。同じ都道府県であれば基本的には実費が請求されますが、中には一律千円(公共交通機関利用時)に規定している会社もあります。深夜や早朝移動などでタクシーを利用する場合はこちらの費用も支払います。
宿泊費
前日の移動が必要なケースや業務が数日間にわたるケースでは、通訳者の宿泊費が別途必要です。宿泊を伴うとなると1日の半分以上は他業務ができなくなる可能性もあるため、宿泊費=移動拘束費として、1日分の通訳費用のうち50%ほどを拘束費として支払う必要があることもあります。また、宿泊費とは別に日当の費用がかかる通訳会社もあるため事前に確認しておきましょう。
機材費
同時通訳では機材を使用するため、機材費が追加されます。中でも赤外線送信機はよく使用され、費用は2~3万円です。国際会議やパネルディスカッションで使用される通訳ブースも2~3万円ほどの費用がかかります。こちらのコストを抑えたい場合は、8千円~1万5千円程度の簡易同時通訳機器を使用する方法もあります。
通訳の料金に差が出る理由

通訳を依頼する場合、以下のような要因によって料金に差が出ます。
・通訳の経験(通訳者の実績)
・通訳の内容や依頼形式
・通訳を依頼する期間
・資格の有無
・通訳を行う言語のペア
通訳の料金は、半日(約4時間)や終日(約8時間)単位で設定されています。半日で依頼する場合、終日料金の60~70%程度の金額が目安になり、時給換算すると1時間あたり7千円~1万5千円程度が相場です。
また、稀な言語ペア(日本語→アラビア語など)や日本語を介さない言語ペア(英語→フランス語など)は、一般的な翻訳(日本語→英語)より相場が高い傾向にあります。
そのほか、通訳の分野によっても料金が異なります。通訳の内容によっては、専門分野の知識が求められる(限られた人材しか通訳を担当できない)ため、専門的な言葉を通訳する場合、一般的な相場より高額になる場合もあります。
| 通訳の分野 | 通訳料金(1時間あたり) |
| ビジネス通訳 | 7千円〜1万5千円 |
| イベント通訳 | 7千円〜1万5千円 |
| 医療通訳 | 7千円〜1万5千円 |
| 法律通訳 | 1~2万円 |
| 技術通訳 | 1万2千円~2万5千円 |
| 学術通訳 | 1万5千円~3万円 |
通訳を依頼するまでの流れ

通訳を依頼する流れは、以下のとおりです。
①問い合わせ
②依頼内容の相談
③見積もりの提示
④通訳の担当者を選択する
⑤正式に依頼する
まずは、電話やメールなどで外注先(通訳専門会社など)に問い合わせを行います。依頼内容をきちんと伝えられるように、以下のような内容をあらかじめ整理しておきましょう。
【打ち合わせで事前に伝える内容】
・通訳を依頼する目的や背景
・想定している予算
・集合する日時、場所
・言語ペア(日本語→英語など)
・通訳の形式(同時通訳など)
・その他の希望
問い合わせを行ったら、依頼内容をもとに概算の見積もりを提示してもらいます。この際に複数の外注先に見積もりを請求し、料金やサービス、適任の通訳者が在籍しているかなどを比較・検討してから、正式に依頼する外注先を決めるケースが一般的です。
通訳者の主な外注先

通訳というと通訳・翻訳専門会社を通して依頼することが知られていますが、クラウドソーシングサービスなどを通してフリーランスの通訳者に依頼する方法もあります。
通訳・翻訳専門会社
専門会社には通訳コーディネーターやコンシェルジュがいるため、業務内容や要望に基づいて通訳者の人数やクラス、機材などを提案してくれ、通訳者のレベル感がわかりやすいのが特徴です。しかし、実績が豊富な会社では割高になる傾向もあるため、事前に予算を伝えておくことが必要です。
フリーランス(クラウドソーシング)

フリーランスの通訳者や、クラウドソーシングサービスに登録している通訳者に直接依頼する方法もあります。クラウドソーシングサービスの中でも国内利用者数がトップのクラウドワークスでは、プラットフォーム上で通訳者のプロフィールを確認でき、実績やスキルを比較できる特徴があります。求めているレベルの通訳者を納得のいくまで自ら探し出せるだけでなく、スカウト機能を使えば直接依頼ができるので余分なコストも抑えられます。
また、クラウドワークスなら「オンライン通訳」も依頼可能です。Web会議システムなどを利用すれば、遠隔地同士を繋げられるため、複数拠点での会議・商談などの通訳をオンライン上で行うことができます。交通費や宿泊費などのコストが発生せず、通訳者の拘束時間も短いため、比較的安い料金で依頼することができます。
【オンライン通訳の発注事例】
・社内会議のオンライン通訳者募集(日本語⇔韓国語):時給1,000~1,500円
・【インバウンド対応】通訳チームメンバー募集:時給1,500~2,000円
・【リモート可】Web商談の英語通訳できる方募集:半日で2~3万円
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翻訳者をお探しの方は以下の記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:翻訳の相場とは?英語・中国語翻訳やフリーランスへの発注費を紹介
まとめ
通訳への依頼は業務内容のレベルや言語によって相場が異なるため注意が必要です。また、通訳業務以外の費用や、通訳専門会社での紹介によるコストなど、予想よりもトータルの費用が発生してしまうことが少なくありません。フリーランスの通訳者を探せるクラウドソーシングサービスもプロを探せる方法のひとつですので、ぜひ検討してみてください。








