​「社長いかがでしょう」の落とし穴

2014.01.09

(本記事は、他サービスで記事投稿後、サービス終了に伴って保存のために転載したものになります。)

最近、二度ほど社内でチームメンバーに注意やアドバイスをしたことがあったので

何かの役に立つかと思って書いてみます。

 1.UX(ユーザーエクスペリエンス)改善提案の際に

ある短期インターンのUX改善の成果発表会で、発表の最後のスライドに

「吉田社長、いかがでしょうか?!」

という文言で終わっていたことがあって、

非常に違和感があったのでアドバイスをしたことがあります。

クラウドワークスでは、全社員の共通言語として「UX改善」を掲げています。 現在のウェブサービスの多くは基本的にはコモディティ化しており、

テクノロジーやデザインでの差別化は困難であり、

徹底的なUX(ユーザーエクスペリエンス)改善のみが差別化に繋がると考えています。

そういう意味では、社長やインターン、あるいは開発、マーケ、管理という役職に関係無く、

ユーザー体験について一番考え抜いた人が偉い、という文化にしています。

その文化の中では、偉い人は必ずしも社長では無い。

社長を向いて仕事をするのではなく、いかがでしょう?と聞くべき相手は、

ユーザについて最も議論している現場のメンバーだと思っています。

そんな話をしました。

社長一人のカリスマで動く時代は終わりを告げ、

一人一人が当事者意識を持ってユーザーについて毎日真剣に考える。

その積み重ねをした組織が強い、と考えています。

2.表示崩れの対応

年明けの全社員での仕事始めは1月6日でした。

めでたいことにちょうどこの日にユーザー数が10万人を突破しました。

お恥ずかしい話ですが、9万人から10万人というのは表示の桁数が増えるので、

サイトの場所に寄っては表示が崩れるところが発生しました。

レイアウトのアルゴリズムがしっかりしていれば全く問題の無い事象のはずなだけに

この事態は早急に改善するように社内でメールのやり取りがされていました。

しかし、その事象が発生して修正依頼をされてからデザイナーが修正を終えたのが6時間後。

しかも修正を終えると、ウェブサイトというのはデプロイという反映作業が必要なのですが

その依頼の際に

「Aさん、お手すきの時にデプロイをお願いします。」

というメールを出していて猛烈に注意しました。

誰を向いて仕事をしているのか、という話です。

作業自体は実は数分、数十分の世界でした。

ユーザーだけを向いていれば、

1.ユーザーから見て表示が崩れているのは未熟なサービスと受け止められる。

2.一刻も早く作業をしたほうがよい

3.一刻も早く反映作業をしたほうがよい

という話になると思っています。

上記の業務依頼メールの「お手すきの時に」というのは、

気を遣っている相手が社内のAさんであって、ユーザーではない。

毎日緊張感を持ってユーザーに集中すべきはずなのに、

ユーザーに気を遣うのではなく、社内の人に気を遣う。

これは大切にする点がブレまくっている、という注意をした次第です。

 

上記いずれの例も示しているのは、仕事における最終的な目的が意識できているかどうか、

だと思っています。

仕事における最終的な目的は常に一つしか無く

「そのサービスのユーザーに喜んでもらえるか」

だと思っています。

その中で「社長いかがでしょう」という言葉が出た時は、

ともするとユーザーを向いていない可能性があるるので要注意だと思っています。