2014年 2月の記事

​メーカーのユーザーサポート経験から見たサービス改善手法

2014.02.25

(本記事は、他サービスで記事投稿後、サービス終了に伴って保存のために転載したものになります。) 
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今回はインターネットが専門ではないビジネスマン向けに、
​ウェブサービス改善手法のポイントを書いてみます。

昨日、​ONLAB(オンラボ)というシードアクセラレーター
​(※起業家を育成する学校 兼 投資家みたいなところ)にてメンタリングをしてきました。

​要は、ビジネスプランを聞いてアドバイスをするような時間です。
​そこで4社ほど起業間もないベンチャーと面談したのですが、
​共通でアドバイスしたことはウェブサービス立ち上げ時の改善をする際は、

​​「改善ポイントを一つに絞り、それ以外の指標は固定すること。」

​でした。

​言ってみれば非常に簡単な事なんですが、
​変動するポイントが2つ以上あると原因を特定しきれないことが多いんですよね。
​そうすると改善が進まない。

​具体的に説明してみます。

​​【 ウェブサービス立ち上げ時における改善手法の事例 】

​ウェブサービス立ち上げ時で例えると、

​■1. 基本的な会員登録の流れに問題があるとします。

※一般には会員登録のCVR(登録率)が悪いと言います。

​■2. なので、会員登録のUX(ユーザー体験)改善に着手します。

​​   ※UX改善とは一般には、画面のデザインやボタンのデザイン、文言などを変更して、

画面遷移の中で快適に目的を果たせるか、といったようなことです。

簡単な例としては「会員登録」というボタンを「会員登録(無料)」して

心理的な敷居を下げる、みたいなものがあります。

​とした時に、起業直後って実行力に余裕があるし焦ってるので、

​■3. (2の改善中にも関わらず)ウェブの広告を開始してユーザーを獲得しようとする。

​という状態って、本当によくあります。

​チームマネジメントで、「UX改善チーム」と「広告チーム」に分けてたりすると絶対に起きる状態です。

​そうするとユーザー属性として

​​①CVR改善前:自然流入ユーザー
​②CVR改善後:自然流入ユーザー
​③CVR改善前:自然流入ユーザー+広告流入ユーザー
​④CVR改善後:自然流入ユーザー+広告流入ユーザー


​という4つの属性になってしまって、計測するやり方も複雑だし、
​計測する母数も4つに分かれて減ってしまい、原因が特定しにくくなります。

​だから、■2のUX改善、をやってる時って理想は■3の広告、を出さずに、
​サービスに流入するユーザーの属性を一つに絞ったほうが改善しやすいと考えています。

​そこで一旦基本となるCVRを算出して、それを土台として広告を出し始める、というのが理想の流れです。

​【 メーカーのユーザーサポート経験から見たサービス改善 】

​私は元々インターネット業界の人ではありません。
​​最初はパイオニアというメーカーでカロッツェリアというカーナビやカーオーディオを売っていました。

​販売先(卸先)は、オートバックスやイエローハットというカー用品店です。
​そういったカー用品店で、車にカーナビを取り付けてもらうのです。

​ですが、たまに「取り付けたけどうまく動かない」、というトラブルが発生して
​営業マンとしてユーザーサポートを行います。この問題特定が非常に難しくて、
​原因の候補としてざっくり書くと

​原因1:車が不良
原因2:カーナビが不良(※これはさらにハードとソフトの問題に分かれます。)
​原因3:カー用品店の取り付け方が不良
​原因4:1~3はOKだけど、車とカーナビの相性が悪い

​とかめちゃくちゃ選択肢があるんですよね。

​少し専門的になりますが、車の電気は、自宅にある家電のように交流(AC)ではなく直流(DC)で動いている部分があるので不安定になりやすく電気製品に影響が生まれやすい。

​そして、車の不良が疑われたとしても、車の所有者から見ると「カーナビが動かない」ということしかわからないので調査自体にも協力が得られないことがあります。本当に大変。

​その時に必要な行動が冒頭にも書いた

「改善ポイントを一つに絞り、それ以外の指標は固定すること。」

​です。

​例えば、

​​・カーナビが不良と疑われるなら、変動要素であるその車から外して
​カーナビ以外の環境が完璧な店舗のガレージで作動させる。

​​という行動が必要でした。

​—

​リアルの世界だと、問題を一つに絞らないといつまでたっても原因が特定できないですし、
​ユーザーも納得しない。その中で

「改善ポイントを一つに絞り、それ以外の指標は固定すること。」

が重要だと学んだ次第です。
​​クラウドワークスでも同様のやり方で当初のサービスを立ち上げています。

​一方でウェブサービスは、改善ポイントを複数作って多少混乱してもなんとなく運営できてしまうのですが、そういう点を気をつけると改善がしやすくなると考えています。

 

出版のお知らせ「大手を蹴った若者が集まる知る人ぞ知る会社 」 / 「ありがとうが行き交う場所を」

2014.02.20

最近、クラウドワークス関連で2冊(書籍1冊、電子書籍1冊)出版されたのでその告知を。

1冊目「大手を蹴った若者が集まる知る人ぞ知る会社 」(朝日新聞出版)

「慶応在学中のインターンから弊社の役員に就任した成田」

「筑駒から東大入学、人工知能の研究をした後に、野村総研を経て入社した塚本」

の2名が何を考えて、クラウドワークスを選んだのか。

そんな内容にフォーカスを当てて書かれています。

自身も東大からIBMを経て起業されたスローガン 伊藤 豊さんの渾身の企画です。

野村総研、ボスコン、三井住友、リクルートなどから
ベンチャーへチャレンジされた方々への徹底インタビュー。

大企業にいるビジネスマンはもとより、就活中の新卒にもぜひ読んでいただきたいですね!

一緒に取材いただいているのがテラモーターズさんやSansanさんなど全5社のストーリーです。取材頂いたオバタカズユキさん、そしてスローガンの伊藤さん有難うございます!!


「大手を蹴った若者が集まる知る人ぞ知る会社 」
朝日新聞出版 1,500円

これまでは、高学歴層の就職先といえば大企業。
しかし近年、会社の規模や知名度にとわられず「成長企業」を目指す若者が増えている。
彼らが、大企業を蹴ってでも目指すのはどんな企業で、いったい何が彼らを引きつけているのか。
東大、早稲田、慶応、一橋、東工大といった超上位校の若者と、
中小の成長企業を結びつける人材会社「スローガン」の伊藤豊氏が選んだ企業5社を、
『会社図鑑』『大学図鑑』で知られるオバタカズユキ氏が徹底取材。
優秀な人材が集まる成長企業のいまと、脱大企業の最先端を行く若者たちの
就職観・仕事観に迫る、渾身のノンフィクション。

購入はこちらから

2冊目「ありがとうが行き交う場所を」(電子書籍 、鳥居元)

鳥居元さんの手がける「ビジネスアスリートの群像」の第二弾です。

ちなみに、第一弾はプロフェッショナルコネクターの勝屋さんです!

こちらは私の半生の振り返りを、インタビュー頂いたものです。
無料ですのでぜひお気軽にご一読ください!


自らの理想に向かって走り続ける
ビジネス・アスリートたちの
成長と成功の軌跡がここに。

第ニ回は、ベンチャー業界で株式上場や起業を経験し、
現在は新しい働き方を提案する「クラウドワークス」の代表取締役を務める
シリアルアントレプレナー、吉田浩一郎さんの物語をご紹介します。

ダウンロードはこちらから

​ウェブサービスにおけるUX改善について

2014.02.10

(本記事は、他サービスで記事投稿後、サービス終了に伴って保存のために転載したものになります。)

当社ではUX(ユーザーエクスペリエンス)改善という作業を社内の共通言語としています。

1年以上前ですがウェブの学校「schoo」でも同様の内容で講演させて頂きました。

(その時の資料は​こちら

​UX改善は例えば、

・使いにくい所を見つけ出し

・改善案を考えて

・実装まで遂行して

サービス改善に繋げていくという仕事です。

このUX改善については、役職や職種関係無く

少なくとも一度は全員に考えてもらうようにしています。

社内でよく話しているのは、

「全員がユーザー体験について当事者として考える事が大切」

「エンジニアが偉いのはではない

 社長が偉いのでもない

 ユーザー体験について一番考えた人が一番偉い。」

といった内容です。

 

この考えの理由は色々ありますが、一つには

「IT業界において特定のスキルや職種で差別化できる時代は終わった」

という強い確信があるからです。

 

特定の機能やデザイン、UIだけで差別化できる時代は終わり、

それらを複合的に活用しながら、快適なユーザーコミュニケーションにコミットメントすることが重要。

 

もちろん先日発表した​新CTOとして参画した著名エンジニアの大場さんのように
​各方面の第一線のメンバーが参画することが必要ですが、

一方でそれぞれが特定のスキルに依存することなく横断的に考えることが必要。

 

当社に属する社員は一人一人がかなり幅広い業務に従事しています。

意識的に特定の仕事に集中させていません。

 

これをお話すると時々驚かれますが、

エンジニアも展示会に立って説明しているし、

時としてデザイナーがユーザーサポートをすることもあります

(もちろん頻度は多く無いですが)

 

それは全員がユーザーに対する皮膚感覚を持ち続けることが必要だと考えて

あえてそういったマネジメントをしています。

 

UX改善の話は当社のコアバリューであるので、

今後もこの話は色々な角度から書いていくと思いますが、

取り急ぎ最初の入口として書いてみました。